1. ホーム
  2. 薬剤師現場のコラム
  3. ≫ICH(日米EU医薬品規制調和国際会議)って何?

ICH(日米EU医薬品規制調和国際会議)って何?

日本、アメリカ、EUで医薬品の販売量は80%を占めています。ICHは当局に対する申請方法を統一化して早期に各国で承認業務を行うための会議です

2648707505b64e0cc054cbe4b2c92471_s

ICHとはInternational Conference on Harmonisation of Technical Requirements for Registration of Pharmaceuticals for Human Use(日米EU医薬品規制調和国際会議)を指します。

製薬会社に転勤を考えている人ICHは覚えておいて損はないカモ

主力メンバーは日本、アメリカ、ヨーロッパ連合の国家代表と各国の製薬工業団体ですが、カナダ保健省とスイス医薬品医薬品局も投票権を有するICH運営委員会に入っています。世界保健機構(WHO: World Health Organization)がオブザーバーとして参加しています。国際製薬団体は投票権を持たない運営委員会のメンバーです。

ICH発足の経緯

日本、アメリカ、ヨーロッパでは新医薬品の承認審査業務各国で異なっていました。1960年代から1970年にかけて薬害等が起こるごとに法令やガイドラインが各国で別々に制定、整備されてきました。

新医薬品の品質・有効性・安全性を評価するということは共通認識でした。医薬品企業の国際化により、各国の規制要件を満たすためにそれぞれ試験を行うことは、時間とお金の無駄であるばかりでなく、多くの患者さんに治験という一種の人体実験にボランティアとして参加していただくことになるという問題が表面化しました。

1980年4月日本、アメリカ、ヨーロッパの各医薬品規制当局と業界団体の6団体により、申請審査の合理化、標準化のためのICHが設立されました。(その頃は日米欧医薬品規制調和国際会議と呼ばれていました。)

人種が違うのに標準化できるものなのカモ?

人種の扱いは日本のみが単一人種で、アメリカでは人種問題に対しては特に敏感であることから、人種は背景因子の一つとして定義されています。

その後毎年2回ICH運営委員会が開かれています。その内容は各地域で運営委員会の公開シンポジウムが開催され、透明性は確保されています。現在では80を超えるガイドラインが合意に至っており、各地域で実施されています。ICHに参加していない国でもICHに準じた審査方法を導入している国が増えています。

ICHの目的

ICHの目的は日本、アメリカ、EU連合による新薬承認審査の規制を国際的に統一することです。

そのため、医薬品の特性を検討するための非臨床試験の方法、臨床試験の実施方法のガイドライン、新薬申請のための書類の形式を統一化することです。最終的な目的は医薬品開発の非効率を減らすことによって、よりよい医薬品をより早く患者に届けることです。

ICHの具体的な作業

ICHでガイドラインが成立するためには5段階のプロセスがあります。

ステップ1:新しいガイドラインの作成

ステップ1は新しいガイドラインを作成する提案(トピックと呼びます)、トピックが運営委員会により、承認を受けて、専門家作業部会が設置されます。

専門作業部会にはあらゆる分野の専門家が集められ、ガイドライン案のベース(技術ドキュメント)と呼びます。この技術ドキュメントが作成されるとステップ1の終了です。

ステップ2:運営委員会による承認

ステップ2は技術ドキュメントが運営委員会により承認されるとステップ2の終了です。単に運営委員会が承認するだけでなく訂正が幾度も行われます。承認された技術ドキュメントはガイドライン案となります。

ステップ3:国内で開示して意見を求める

ステップ3は各国の規制当局がガイドライン案を国内で開示して意見を求めます。日本ではガイドライン案が厚生労働省のホームページに公開され、パブリックコメントを求める形をとります。

集まった意見に基づき専門技術部会で協議が行われ、ガイドライン案の修正が行われます。最終的なガイドライン案ができるとステップ3の終了です。

ステップ4:最終的な合意

ステップ4はガイドラインが運営委員会の規制当局の代表者によ最終的に合意、採択されるとステップ4となります。この段階では各国の規制当局間での意見の違いが明確になり、合意に至るまでに時間がかかる場合があります。

ステップ5:ガイドラインとして実施

ステップ5は規制当局が同意したガイドラインを各国のガイドラインとして実施する段階です。日本では、厚生労働省医薬食品局から通知されてステップ5になります。

原則としてステップ4までは英文で作成されます。日本でステップ5になる場合には日本語への翻訳が必要となります。

ICHの現状

すでに50以上のICHのガイドラインがステップ5になっています。現在でも医薬品のライフサイクル管理がステップ1になっています。また、ガイドラインとしてステップ5になっているガイドラインの見直しも検討されています。

日本語にするだけでも日本での申請はめんどくさいカモ

まとめ

ICHのガイドラインはどの国で開発しても、他の国で新薬承認申請ができるように共通の方法で医薬品の開発を行うことを目的として作られています。新医薬品の内容に関しての記載はほぼ統一されています。

日本特有の問題として、海外でモンゴロイドが全く入っていない試験で、効果と安全性のバランスが認められいても、少数ながら日本人での臨床試験が要求されます。なお、市販後調査でも全例調査を求められることが多くなっています。また、日本語への翻訳に関しても問題が生じています。

機械翻訳した申請概要を提出した会社が、日本人の校正を受けることを要求されたこともあります。特に添付文書である文献の抄録部分は日本語翻訳を要求されていましたが、これは英文で受け入れられることに変更されました。

海外の製薬会社が販売だけでなく、薬事部門を日本支部に作る大きな理由が日本語による概要作成です。しかし、その役割を果たそうとしているCROも存在します。