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認知症介護実践者研修とはどのような資格?キャリアアップに必須か検証してみた

この記事の監修者 池田 正樹(介護支援専門員 介護福祉士 社会福祉主事)
池田 正樹 山形県出身。大学卒業後、約14年間福祉の最前線で活動している。介護支援専門員、通所介護・有料老人ホームの生活相談員、認知症対応型共同生活介護の介護員、福祉用具専門相談員、訪問介護管理者等を経て、現在は在宅の要介護者を支援する介護支援専門員として勤務。障がい者・児の資格もあり、福祉全般に幅広く経験・知識を持つ。 続きを読む
厚生労働省で推奨されている「認知症介護実践者研修」とは、どのような資格なのでしょうか?

介護職で、ある程度経験を積んだ人が受けることのできるものとされており、事業所として将来を期待されている職員がよく受講する研修の代表格です。

しかし介護福祉士や介護支援専門員とは違い、実は一般にはあまり馴染みがない研修になっています。

今回は、そんな認知症介護実践者研修の説明と実際の受講内容などについてご説明しましょう。

そもそも、認知症実践者研修とは?

介護施設などに勤務している人を対象とした、認知症患者に向けて介護の知識と技術向上を目的とした研修です。

厚生労働省の通達である「認知症介護実践者等養成事業実施要綱(PDF)」に基づいたものとなります。

実施については自治体ごとに行われており、実際の研修は地域の事情により、介護保健施設・事業者などに委託されている場合もあります。

なお実施の責任窓口については、都道府県、指定都市ごとで行われています。

介護保険事業の中の地域密着型サービスに分類されている、認知症対応型共同生活介護(グループホーム)、小規模多機能型居宅介護、看護小規模多機能型居宅介護において、管理者や計画作成担当者になるためにはこの研修が必須となっています。

さらに、これらの重要な職務につくためにはこの研修にプラスして、「小規模多機能型サービス等計画作成担当者研修」や、「認知症対応型サービス事業管理者研修」の修了が必要となっています。

まとめると、地域密着型サービスの上記事業所では、この研修を修了した者の配置が義務付けられており、早い話がキャリアアップのために必須の研修といえます。

認知症対応型の施設で勤務をしている人にとっては配置義務となっている研修なので、受講機会があり、キャリアアップを考えている場合は受けておくとよいでしょう

認知症実践者研修を受講するには?

基本的には、介護施設に勤めている人の中でも、対象となる地域密着型サービスに勤務する方のために行われる研修です。

それ以外の施設で勤務している場合でも、認知症対応の専門的な研修ですので、自身の介護力向上や施設にフィードバックすることで職員全体の技能向上にもつながるものになります。

そのため個人で受講手続きをするのではなく、事業所から受付を行うものとなります。

受講してみたいと考えている人は、職場で確認をすると良いでしょう。

ただし、受講にはある程度の実務経験や能力が必要であり、年に1~2回しか行われない研修でもあることから、職員本人の意志や希望というよりも事業所が業務命令として受講者を選定する場合が多いです。

受講資格については実施している都道府県によって違いますが、以下のようになります。

  • 介護業務に2年以上勤務している(介護福祉士の資格が必要の場合もあります。)
  • 将来的に管理者となる予定がある
  • 事業所の推薦

受講については、受講前に事前レポートの提出があります。

都道府県によって実施されている時期などが違ってきますが受講希望者が多いため、すぐに定員になってしまう研修です。

職場などで研修を受けたいという意思をはっきりと伝え、対応してもらうと良いかもしれません。

希望者多数の研修だから、便利で講習の受けやすい場所から決定してしまうことが多いです。また研修自体は年に数回あるが、タイミングですぐに定員に達し、抽選で決定される場合は義務規定があるグループホームや小規模多機能型居宅介護に所属している職員が優先されます

認知症介護実践者研修の費用については?

気になる費用ですが、自治体によって異なります。

平均では25,000円~50,000円の範囲内で収まるでしょう。

東京都の場合、費用はかかりませんが、中には別途教材費が必要になる自治体もあります。

※参照 東京都福祉保健局
他の自治体についてはテキスト代金として、3,000円位かかるという所もあります。

※参照 社会福祉法人静岡県社会福祉協議会 静岡県社会福祉人材センター 研修課7

自治体によって様々ですので、受ける自治体のホームページで確認してみるとよいでしょう。

ただ、受講料については、資格自体は受けた本人のものですが、施設によっては必須研修としていることがあります。

業務命令で受講する場合は、受講料は会社負担となるケースが多いでしょう。

研修費用については自治体によって異なってきますが、事業所で必須とされる研修であるため職場で負担してくれることが多いです

認知症介護実践者研修の研修内容について

研修内容は自治体によって違いがあるケースもあります。

基本的には講義と演習があり、演習課題を決定し、グループワークを行ってレポートを提出する流れになります。

5日間から6日間の研修があり、その間に勤務する施設での実習があります。

実習は、各々受講生が自施設を利用している認知症患者を抽出し、その利用者が抱えている課題を解決するための方法を検討・実践・評価・報告する内容となるところが多いです。

課題に対する取り組みや演習のグループワークなど、研修内容はしっかりと認知症患者に対する考え方やケア方法について、より具体的に考える必要があります。

レポート提出の量などを考えると、かなり中身の濃い研修になります。

カリキュラム例

以下ページの一番下にPDFファイルで実施要領があり、カリキュラム内容が分かります。それを参考に作成してください。

※平成31年度 認知症介護実践者研修(年4回) / 宮城県委託研修 / ホーム – 宮城県介護研修センター

自主課題決定や演習、それに対するレポート提出などがあり研修の後で振り返りやレポートがあるため、ハードな研修と言えます。

また、認知症介護実践者研修は必須といえる研修です。その上には管理者研修やリーダー研修というものもあります。機会があればチャレンジしてみましょう。リーダー研修については後述します。

※参照 認知症介護情報ネットワーク

認知症介護実践者研修修了…その後のキャリアアップは?

認知症介護実践者研修を修了すると、次の4つの研修を受講することができます。

  • 認知症介護実践リーダー研修
  • 認知症対応型サービス事業管理者研修
  • 小規模多機能型サービスなど計画作成担当者研修
  • 認知症対応型サービス事業開設者研修

これはキャリアップにつながる研修です。

それぞれについて東京都を例にご紹介します。

認知症介護実践リーダー研修

認知症介護実践リーダー研修は、認知症の人が個々の能力を活かして自立した生活を送ることを支援することを目的として、他の職員の指導などを行うことができるよう、知識や力を身に着ける研修です。

また事業所同士の連携を図るなど、社会資源を利用して認知症の人の支援をしていくため、実践能力などを身につけます。

講義と演習合わせて8日間、他施設実習5日間、そして自施設実習(約4週間)で取得できる研修です。

認知症対応型サービス事業管理者研修

認知症対応型サービス事業管理者研修は、事業所の管理者として、認知症の人が自立した生活を送ることができるよう、適切な運営や実践的な知識や技術をもとに、支援を行う力をつけるための研修です。

研修を修了すると、事業所の管理者として職員を統率して、認知症の人の支援に必要な行動ができる運営を目指す力を得ることができます。

講義・実習で2日間、他の施設で1日間の実習があります。

小規模多機能型サービス等計画作成担当者研修

小規模多機能型サービス等計画作成担当者研修は、小規模多機能型居宅介護事業所の介護支援専門員として、認知症の人の自立を支援。

そして、チームで利用者の生活を支えるための事業所の特性を踏まえた計画作成の向上が期待できます。

介護支援専門員もしくは、計画作成担当者になる予定の方が受ける資格で講義と演習、2日間で取得できます。

認知症対応型サービス事業開設者研修

認知症の人に対応できるサービス事業の代表者として、開設する地域との連携をとり、サービスの向上に向けた取り組みの知識を身に着ける資格として、認知症対応型サービス事業開設者研修があります。

これは事業所の代表者になる予定、もしくは代表者が受ける研修で1日講義を受けたあと、他の施設の実習が1日あります。

認知症介護指導者養成研修

認知症介護指導者養成研修は、認知症介護研修事業の計画や立案、そして講師を行う指導者を育てます。

この研修は、受講条件が看護師や介護士、そして5年以上の介護業務の経験などといった厳しいだけではなく、東京都知事が認め推薦する人しか受けることができない研修です。

他の研修と比べ、期間も9週間と長いのが特徴です。

まとめ

認知症介護実践者研修は、認知症対応型施設において必須の研修とされるため、介護の仕事をしている人にとっては人気の研修のひとつになっています。

また受講修了をしていることで転職時に有利になってくる資格の一つです。

個人で受けることができないため、施設に勤務している間に受講のチャンスがあれば是非受けることをおすすめします。

仕事をしながら研修を受けることになるため、かなりハードになるかもしれませんが、職場にとってもメリットになり、自分自身の知識と経験にプラスアルファーとなるものです。

また管理職へのステップアップの条件にもなりますので、取得することで将来的に給与に反映されることになるかもしれません。

認知症の資格の中で、こちらは厚生労働省の通達がある公的なものになるため、介護職のキャリアアップや昇進には有利な資格となるでしょう。

認知症介護実践者研修が必須でその上の研修もチャレンジしてもいいですね。

現場レポート

認知症介護実践者研修を受けた人の報告より

私の職場で認知症介護実践者研修、リーダー研修を受けた人の報告と感想について。

私の職場は認知症対応型のデイサービスです。

今回の認知症実践者研修、リーダー研修を去年受講した人が2人います。

どちらの研修も週1回ほどで、約2か月間の研修だったと思います。

認知症介護実践者研修を受けた人によると、ある時「課題があって、ある人についてテーマにしているから、みんな協力してくれる?」といった事がきっかけで、その「ある人」について職場で改めて働きかけ、興味などについて再度検証することになりました。

認知症実践者研修とリーダー研修のどちらとも、実際の利用者の方を課題としたレポートがあるようです。

その課題について、その都度グループワークとデスカッションをして、レポートを提出するといった感じのようです。

レポートの提出が多いようですが、このように職場の課題として取り組むことで、利用者の方に対して、ケアの向上につながりました。

職場の人も一緒に取り組めたことについては、今回はとても良かったと思います。

結果として、ケアについて停滞ぎみだった利用者の方が焦点となった為、改めて見直すことができ、今回の利用者の方については、発語が多くなったことなど、目に見える変化がありました。

また、改めて働きかけの中で、その人の興味や過去の経歴、習慣について、フェイスシートになかった事柄について、送迎時に家族の方に改めてお話しを聞くきっかけにもつながりました。

リーダー研修の人も、テーマは引き続き認知症実践者研修で取り上げた人と同じ人で研修を受けたようです。

私の地域ではこの研修は人気があり、希望してもすぐに定員に達してしまいます。

受講費用はかかりません。

職場の人のシフトの調整が必要になるので、積極的にこのような研修を推奨してくれる事業所でしたら、予定を調整してもらえると思います。

しかし勤務的に難しい人については、自分の休みで受けることになるため、1日のほとんどが研修で過ごすことになるので、難しいかもしれませんね。(恐らくどこの事業所もシフト調整はしてもらえると思いますが。)

自分で研修を受けた訳ではありませんので、詳細については細かくご説明できませんが、 職場の人で受けたいといった人がいれば、是非参加をおすすめしたい、良い研修ではないでしょうか。

事業所にとってもメリットがあるので、受講希望の人は早めに事業所に、募集の要綱などを問い合わせしてもらうと良いかもしれません。