在宅復帰・病床機能連携率は重要なポイントの1つ。在宅復帰・病床機能連携率を算出する計算式と、要件である退院先は?

将来ご自身が介護を受ける事をお考えになった事はありますか?皆様は、各種疾病の急性期を脱した時に、施設で暮らしたいと思いますか?

私は選択の余地が無い場合は「仕方ない」とあきらめますが(他にどうしようもないですし)、もし選ぶ事が出来るのであれば、(本音を言えば)住み慣れた自宅や自宅が無理でもせめて入居系のサービス事業所が良いなと思っています

目次
在宅復帰・病床機能連携率とは
在宅復帰・病床機能連携率
患者(利用者)が、病院或いは介護施設から退院・退所した後に生活の場を在宅に移した割合を示すもの
将来自分が介護を受ける場面を想像した事が無い方は想像してみる事をお勧めします。
理由は単純明快で、介護に関する話が他人事ではなく自分の事のように感じられ一気に関心度が上がるのと、いざなってからではなく、なる前に考えを持っておくことで、後悔せずに済むからです。
在宅復帰率は在宅復帰を果たした人の割合が分かる為、その病院や介護施設の在宅復帰に関する質を知る上で重要な1つの指標です。

急性期には病院を選んでいる余地は無いかもしれませんが、ある程度落ち着いてきた時に、在宅復帰・病床機能連携率が高い病院に転院するのも1つの判断と言えます。
在宅復帰・病床機能連携率の計算式
上記計算の対象
・算定日を含む6ヵ月間の退所者
上記計算の対象外
・施設内でお亡くなりになった方 ・他の病棟へ移った方(※医療施設の場合に限り)
※ここの内容を現行に沿って修正していただきたいと思います。参考になると思われるURLを以下の通り調べてみました。
在宅復帰・病床機能連携率を下げない退院先
在宅復帰・病床機能連携率を下げない退院先としては、下記があげられます。
入院医療の場合
- 自宅(勿論ですね)
- 入居系の介護施設(老健の場合も同様)
- 回復期リハビリテーション病棟 ※1
- 地域包括ケア病棟 ※2
- 療養病棟 ※3
- (在宅強化型の)老健
- 有床診療所 ※4
「※1,2」について
7対1入院基本料の算定に関してのみです。
地域包括ケア病棟入院料の場合は、この2つは含まれません。
「※3,4」について
在宅復帰機能強化加算の届出をしている事が条件
※上記同様最新情報に修正お願いします。
介護老人保健施設の場合
- 自宅(勿論ですね)
- 入居系の介護施設
例えば、有料老人ホーム、認知症対応型共同生活介護事業所、ケアハウス、高齢者専用賃貸住宅等です。
要するに介護老人福祉施設や別の介護老人保健施設、介護療養型医療施設等の施設サービス以外という事ですね。
2016年度の診療報酬改定
2016年度に行われた診療報酬の改定で、入院医療の在宅復帰の要件が見直さました。 それによって、在宅復帰率の評価基準が5%引き上げられ、8割以上という事になりました。退院先には、在宅復帰機能強化加算を届け出ている有床診療所が新たに加えられています。
※上記同様最新情報に修正お願いします。
在宅復帰・病床機能連携率を下げない為に介護士ができる事
在宅復帰・病床機能連携率を下げないために介護士ができる事をお伝えします。
まず固定概念を捨てること
「出来ない」「無理」「そんなこと言ったって…」こういった考えを捨てなければ、在宅復帰を果たせる可能性を潰します。
生活リハビリをどのように捉えているかということは、在宅復帰・病床機能連携率に如実に表れてきます。
例えば入浴をテーマにしてみましょう。
介護保険指定の介護事業所を例としてあげます。
介護事業所では原則として、入浴は週2回と定められています。
特殊浴槽やリフトを使って入る特浴が施設サービスの事業所にはあります。
ここで疑問に思ってほしいのは「その要介護者は本当に特浴でないと入浴できないのか?」ということです。

どうしたら特浴でなく普通に入浴できるのか…様々な方法を検討・試行錯誤し実践してみることで、大抵の要介護者は特浴ではなく一般浴での入浴が可能になります。
特浴の場合は、ストレッチャーの上で洗身されそのまま浴槽にストレッチャーのまま浸かり、出る時もストレッチャーで出て服を着せられフロアに戻っていきます。
つまり、本人が入浴に関して何も行っていない状況なのです。ここには下記のような問題点が発生します。
- 筋力が失われる
- 自発性の低下に繋がる。
対して一般浴の場合、自分または介助を受けながら浴場内の椅子に移乗し洗身して、浴槽にも出入りしなければなりません。
この行為が出来るのと出来ないのとでは、在宅復帰の道に雲泥の差が生じます。
筋力が無いからというのもよく聞かれる声ですが、お湯を張っている浴槽内では、介護士が浴槽内に足を入れ前から支えながら浮力を利用すれば筋力が無い人でも出やすいです。
この方法で実際に特浴から一般浴に移行した人を2人ですが知っています。
この例のように、目の前の事全てに関してそれをリハビリとして活用できないか検討する事で、在宅復帰を果たすことができるかどうかが掛かっています。
※読みやすいよう一部修正してみました。
ベッド回転率とは?
在宅復帰・病床機能連携率はその施設を退所した人の内病院や施設以外の場所に退所した人の割合を示すものです。
もう1つの大事な指標がベッド回転率です。
文字で書くと少し分かりにくいかもしれませんが、その計算式を載せます。
直近3ヶ月の新規入所者数と退所者数(死亡退所を含む)を足して2で割った出た数字Aを直近3カ月の入所者の在所日数で割り出た数字をBとします。
直近3ヶ月の入所者延日数をBで割ると平均在所日数Cが出ます。
30.4をCで割った後100を掛けて出た数字Dがベッド回転率D%です。
在宅復帰強化加算等はベッドの回転率も要件等で一度注目してみるとよいでしょう。
自分の勤める施設のベッド回転率はどの位なのか知る事で感じる事もあるでしょうから。
※在宅復帰率の計算式のように画像を作成してはいかがでしょうか。
在宅療養支援機能
介護老人保健施設の場合は、もう1つ要件があり、在宅療養支援機能と言います。
これは、介護老人保健施設の従業員が退所した人の居宅を訪れるか、指定居宅介護事業所等から情報を提供してもらい、在宅生活が1月以上に渡って継続している、又はその見込みである事を確認・記録を退所日から30日以内に行う事が必要です。
介護老人保健施設の場合は判断基準がもう1つ!
医療機関ではなく、介護老人保健施設の場合ですと、評価基準がもう1つあります。
「在宅復帰強化型、又は在宅復帰・在宅療養支援機能加算の算定をしているかどうか」です。
在宅復帰・病床機能連携率が其々5割と3割という高い在宅復帰率に加えてベッドの回転率が1割と5分という在宅復帰率以外にも回転を促す要件が付けられているのに算定しているという事は、在宅復帰に関して質が良いと客観的判断を下す基準になるからです。

診療報酬の改定・老健の機能強化に見る在宅復帰・病床機能連携率は、国が早期退院による医療費の抑制と、生活の場(つまりは介護を提供する場)を在宅に回帰させようとしている施策を明確にしている以上は、今後(制度的に)更に重要な意味合いを帯びてくるものと考えられます。 将来要介護状態になっても施設入所ではなく、せめて入居系サービスでのびのびと生活したいと考えてる方は、今後も在宅復帰・病床機能連携率について、改定も含めアンテナを張っておくとよいでしょう。