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デキる介護士は利用者さんとの正しい距離感を理解している!いますぐ実践できる注意すべきポイントとは?

この記事の監修者 池田 正樹(介護支援専門員 介護福祉士 社会福祉主事)
池田 正樹 山形県出身。大学卒業後、約14年間福祉の最前線で活動している。介護支援専門員、通所介護・有料老人ホームの生活相談員、認知症対応型共同生活介護の介護員、福祉用具専門相談員、訪問介護管理者等を経て、現在は特別養護老人ホームの介護員として勤務。障がい者・児の資格もあり、福祉全般に幅広く経験・知識を持つ。 続きを読む

距離感

介護の仕事をする中で、利用者さんとの距離感はきちんと意識できていますか?

介護職は、人と人が関わる大切な仕事です。

仕事の対象が目上の人であることを、忘れたことはありませんか?

あなたと同じように「感情」を持っていることを、忘れたことはありませんか?

利用者さんとの正しい距離感を知ることは、プロの介護士として重要ですよね。

今回は、利用者との適度な距離感に焦点を当て、援助する上で注意すべきポイントを紹介します。

距離感の重要性

介護をする上で、距離感はとても重要です。

お互いにとっての最適な距離感を理解して業務に携わることで、利用者さんの安心に繋がり、信頼関係を築くことができると言われています。

利用者さんについて色々な情報を知り、理解した上で援助を行いたい。

仕事に一生懸命な介護職員なら誰もがそう思うでしょう。

そのためには、利用者さんに近づいて会話をしたり、介助を行いますよね。

しかし、近づきすぎることで、かえって下記のようなことを引き起こす原因にもなりかねないのです。

  • 利用者さんの微妙な変化を見落とす
  • 逆に不快な気持ちにさせる

パーソナルスペースを知ろう

介護をする上で最も配慮しなければならないと言われているのが、利用者との物理的な距離感です

「パーソナルスペース」とは、相手に入られると不快に感じてしまう空間を指します。

動物の縄張り意識と同じように、人間にも本能的にあるものなのです。

パーソナルスペースには、以下4つのようなものがあります。

1. 密接距離

配偶者や恋人などのパートナーが許される、最も近いとされる距離感で、相手の匂いや体温を感じることができます。

密接距離に近づける人が居ないときは、精神的にも良くないと言われていて、限られた人との密接な距離感は、心に安心感を与えることができます。

距離の目安

約0~45cm(最も親しい人に許される距離)

2. 個体距離

親しい人や心を許した人に対して認められ、手を伸ばせば触れることができる距離感です。

相手の表情が読み取れて、ヒソヒソ話ができる程度の適度さがあります。

コミュニケーションをするときは、この距離感があれば優れた共感を生み出せると言われています。

距離の目安

約45cm~1.2m(相手表情が読み取れる距離)

3. 社会距離

知らない人同士が会話するのに適しており、ヒソヒソ話はできませんが、通常の会話ができる距離です。

いざとなれば離れることができ、相手に威厳を示せる距離なので、上司から部下への指令などもこの距離感を使います。

距離の目安

約1.2~3.5m(通常の会話ができる距離)

4. 公共距離

学校の先生や政治家などが、大衆に向かって訴えたり演説をする際に使う距離感です。

一対一の対人関係が発生しないので、相手からの圧力を感じない距離です。

距離の目安

3.5m以上(複数の相手に対する距離)

密接距離って本当に限られた人にしか認められない距離感であると言えます。

介助をするとき、自分のことを顧みてみましょう

介護士と利用者の距離~最善の配慮を心がけよう

  • 最も親しい人に対する「密接距離」
  • 相手の表情が読み取れる「個体距離」

介護職員が利用者さんを介助する際にとる距離は、上記の2つに近いことがわかります。

移乗介助・排泄介助・食事介助・入浴介助…全てのことが、相手に近づかないとできないことですよね。

これは仕方がないことなのでしょう。

しかし例えば、いきなりズカズカと知らない介護士が挨拶も無しに自分のところにやってきて、抱き着くように移乗介助を行うとします。

誰だってびっくりして拒否しますよね。

認知症やコミュニケーションに障害がある方であれば、なおさらです。

介護を拒否する利用者に対して「暴力行為」「介護拒否」と決めつけてしまう前に、自分の介護士としての距離感を見直してみましょう。そうすることで、よりよい介助ができるようになります

まずは「接遇・マナー」を守ることから

介護職は接客サービス業と言っても過言ではありません。

接遇やマナーの精神と目上の方に対する敬意の気持ちを忘れないようにしましょう。

距離感というのは、時として感覚をマヒさせてしまうことがあります。

つい関係性に慣れが生じて、以下のような対応を取りがちになっていませんか?

  • 上から目線の発言
  • 命令口調
  • 馴れ馴れしい態度

介護職員の何気ない口調や言葉で心が傷つき、それがやる気を失う原因となり、身体が衰えてしまう利用者さんもいます。

相手のためだと思って、ぐいぐい相手の気持ちに入り込んでいくのは逆に失礼にあたりますし、もし自分がその立場だったら不快に感じますよね。

利用者さんに良かれと思ってしていることが、単なる自己満足になっていませんか?相手との礼儀・マナーを守って接することが大切です

接遇とは

「接遇」とは、利用者さんに「あなたに援助されて良かった」と感じてもらう、おもてなしの精神を最も大切にすることです。

利用者さんはあなたの家族ではなく、お客様です。

接遇や礼儀を大切にすることで、パーソナルスペースに関係なく、相手との距離感を一定に保つことができるようになります。

これが利用者さんに安心を与え、信頼関係を築くことに繋がるのです。

「接遇」は接客ではありません。

接遇とはただ単に接客をすることではなく、それよりランクが上がった「相手を喜ばせるおもてなし」をすること。

接客サービスで自分がされて嬉しかったことを思い返してみるといいヒントになります。

利用者さんと職員それぞれの個人情報を守ろう

内容としてはICTリテラシーについての言及も含めていただいたうえで下記の点について書いていただきたいです。

〇利用者及び家族の個人情報保護

〇介護スタッフの個人情報保護(自身の身の上話をしない、住所等を伝えない、特定の職員の悪口、褒め口、プライバシーに関する情報や噂話を話さない)

https://helpal.jp/article/2285/

https://helpal.jp/article/2385/

ここのサイトを参考に書くとよいと思われます。お示ししたURL以外にも、当該ページの下の方に関連リンクがありますので一連の内容として参照していただければと思います。

利用者との距離感で気を付けること

利用者さんとの距離感で気を付けたいこと、どのようにしたら上手くいくのか、ポイントを紹介します。

介助前は必ず声かけを

介護をするとき、利用者とのパーソナルスペースはどうしても狭くなってしまいます。

利用者さんは介護をされて嬉しいと思っているわけではありません。

生きていく上で仕方がないと、苦渋の想いで介護士に身を預けている人のほうが多くいます。

その気持ちを汲んで、相手の立場に立った援助を行わなければなりません。

  • 周りが見えず焦っている新人職員
  • 仕事に慣れたベテラン職員

特に、上記に該当する方は、自身に当てはまっていないか確認してみてくださいね。

介助を行う際は一言が大事。

相手に納得してもらった上で、介助に入りましょう。

声かけは介護の基本として大切です。利用者と慣れ親しんだ関係であっても、あくまでも他人であることを忘れないようにしましょう

近づきすぎず、離れすぎず

介護士が利用者さんにこうしてあげよう、ああしてあげようという気持ちはとても素晴らしいことです。

しかし過度にやりすぎると、周囲が見えなくなってしまうことがあります。

それは「プロの支援者」とは言えません。

間違った距離感が、以下のようなリスク発生に繋がることもあり、最悪、利用者が施設に居づらくなる環境を作ったり、サービス利用停止にまで発展してしまう可能性もあるのです。

  • 周りの利用者からの嫉妬
  • 手をかけた利用者本人からの思わぬクレーム
  • 手をかけた利用者さんからの限度を超えた要望
  • 金品の授受など利用の規定違反に繋がる行為

利用者対応が上手である介護士は、入居者全員と公平に、ある一定のパーソナルスペースを守りながら対応します。

利用者さんの気持ちを汲み取りながら、適度に近づいてあげたり、遠くで見守ったりと、臨機応変さが求められます

距離感もボディタッチも適度さが大切

利用者のパーソナルスペースと一言でいっても、どのようにして利用者との距離感を掴めばいいのか今一ぴんとこない方もいるのではないでしょうか?

そんな方は、コミュニケーションをとるにあたって「自分ならどうしてほしいか」を考えるといいでしょう。

例えば…
あなたが不安で涙が出そうなとき、誰かに寄り添ってもらうだけで、少し落ち着いたり、心強く感じたりしますよね?

利用者さんも同じです。

悲しい顔をしていたら、隣に座りって、ただ話を「うんうん」とうなずいて聞いてあげてください。

もしくは、背中を優しくさすってあげるだけでもいいかもしれません。

それだけで利用者さんの気持ちは安らぐのです。

介護の仕事は、単純にパーソナルスペースを考えるだけではいけません。

相手は自分と同じ人であり、自尊心も感情も、同じように持ってい生きています。

「そんなことわかっている」と思う方はたくさんいるでしょう。

しかし重要なことは、理解できているかどうかではなく「配慮できているかどうか」なのです。

「自分はどうしてもらうと嬉しいか」をまず考えて対応することが、場面ごとに変わる利用者さんとの適切な距離感へのヒントになります

利用者との距離感を上手にコントロールできるようになろう

介護職員が利用者さんを介助するときは、必ず0~45cmの「密接距離」で行うことになります。

まずは、その距離は他人から無理矢理入り込まれると不快になる空間だということを理解しましょう。

そして、最低でも以下にあげることはきちんと説明し、利用者さんが納得したことを確認した上で、介助に取り掛かることが大切です。

  • 自分が何者なのか?
  • どんな介助をしようとしているのか

また、過度に関係を深くしすぎるのも、クレームやトラブルの元凶となります。

どの利用者さんとも公平に、適度な距離感を持って接すること、そして利用者さんの心身の状態に合わせて距離をコントロールできることが、より良好な関係であり続けられるポイントともなるのです。

現役介護士さんの「利用者との距離感」における失敗談とアドバイス

利用者との距離感について、現役介護士さんに聞いてみました!距離感の作り方や配慮の仕方は、働く場所によっても違いがあります

あくまでもお客様。 砕け過ぎた対応はしないように心がけて仕事をしています(28歳・男性)

施設内介護で働いています。

老人ホームになりますので、利用者の生活の場となっています。

その中の一員として働いていますが、新しい入居者が来た時に、いつも通りに砕けた会話をしようとすると、不快な思いをさせる事になり、しばらくは信用を取り戻すのに苦労をしました。

家族のような存在であっても、やはり礼儀などはとても大切だと実感できた瞬間でした。

現在気を付けていることは何かありますか?

喋り方を特に意識しています。

利用者さんによって変えると他の方からの印象も良くありませんので、丁寧な言葉使いを心掛けています。

現場で悩んでいる介護士さんへアドバイスをお願いします。

やはり、利用者さんはお客様であり、他人になりますので、アットホームな施設であっても、喋り方などには十分に注意が必要となります。

親身になりすぎることは、お互いの関係性を悪くする。(39歳・女性)

特養、療養型病棟で勤務しています。

介護職2年目の時の話です。

その頃は特養にお勤めしていたんですが、受け持ち担当ができ4人の女性入居者さんを受け持つことになりました。

その中に精神疾患をもつ方がいらっしゃって、担当職員にものすごく頼るタイプのかたでした。

2年目の私は頼られる事にやりがいを感じてしまい、彼女の希望はなるべく叶えてあげようと行動してしまいました。

その結果、「上司から4人平等にしないとおかしい。」とお叱りを受けてしまい、その利用者さんも職員を選ぶようになってしまいました。

現在気を付けていることは何かありますか?

私は、仕事をする上で常に気を付けていることが3つあります。

1つは、利用者さんの話は真剣に聞きますが、すべてを真に受けないこと。

2つめは、要求も一人で抱え込ます、他のスタッフと共有するようにすること。

そして最後に、利用者全員平等に対応するように心がけることです。

現場で悩んでいる介護士さんへアドバイスをお願いします。

利用者さんと信頼関係を築く事はとても大切ですが、不公平があってはいけませんし、言いなりになることが良いことでもありませんので、言葉は選んで発言してみましょう。

たまには(話した内容を)スルーすることも大切です。

友達感覚で接するのではなく、あくまでもお客様として接する(32歳・男性)

有料老人ホームで働いていますが、以前、入居者さんの方の悩みに親身になりすぎたことがありました。

その結果、プライベートなことに深く立ち入ってしまい、しまいにはほとんど友達や親族みたいな関係になって、悩みを聞き解決すると、本人や家族から「いつも助かるよ、これ取っておいてね」と言われ、現金を渡された事がありました。

もちろん現金を頂くことは禁止されているのですが、その場で断ることが出来ないため一応受け取って、事務所へ報告し、本人の口座に戻しておいて頂きました。

現在気を付けていることは何かありますか?

親身に悩みを聞くことは変わらないのですが、今までより相手との距離感を考えて相談に乗ったり話を聞くようにしています。

現場で悩んでいる介護士さんへアドバイスをお願いします。

親身になって話すことは大切ですが、あまり親身になりすぎると、相手も家族みたいと錯覚してしまうので、利用者のプライベートの事に対して深く入りすぎないようしないと行けません。

相手に敬意を払う事が大事(33歳・女性)

訪問リハビリテーション勤務です。

相手のご自宅に伺い仕事をさせていただくのですが、利用者さんのご家族とのコミュニケーションも大切なため、色々と話を聞きお答えしていました。

とても親近感を感じてくださっているのは気がついていましたがそのままのコミュニケーションの取り方を続けてしました。

すると、そのお宅にお嫁に来ないかと誘われてしまい…それからコミュニケーションの取り方に気をつけています。

現在気を付けていることは何かありますか?

他人行儀では警戒されてしまうことも多く、相手の真意がはかれないことが多々あります。

逆に砕けすぎてしまうと、身内のような付き合いになってしまい仕事として成り立たなくなってしまうことがあります。

そのため、なるべく他人行儀になりすぎず、砕けすぎずで、言葉使いや態度に気をつけてある程度の距離を保っています。

現場で悩んでいる介護士さんへアドバイスをお願いします。

介護の世界だとご高齢の方を相手にする事がほとんどです。

認知症の方もおり、なかなかコミュニケーションがとりづらいこともあります。

どのような距離を保って接していいか分からなくなることもあるかもしれませんが、相手を1人の人間として、敬意の念をもち、こちらもプロとしての自覚をきちんともって関係を築く事が大事だとおもいます。

仕事だとわきまえる(27歳・女性)

病院で介護お仕事をしているのですが、以前は施設で働いていたため、つい施設のように日常生活を送れるよう支援してきました。

しかし、病院に転職してからは「日常生活の支援+病気への配慮」も必要なため、配慮したつもりの言葉が患者さんにとっては負担だったり、重荷になっているのかなと思う時もあります。

患者さんにとってニーズが違うのでそれに沿っての言葉掛けがとても難しく思います。

現在気を付けていることは何かありますか?

やはり、介護の仕事は体力的にも精神的にも大変です。

こちらが良かれと思ったことでも患者さんにとっては嫌なことであったり、元の性格もさる事ながら、薬などで本来の自分の性格ではないものが出てきてしまい、職員に手をあげたり暴言を吐く患者さんも多くいます。

一回一回反応せず、仕事だと思うようにしています。

現場で悩んでいる介護士さんへアドバイスをお願いします。

やはり、仕事なんだとわきまえることが本当に大事だと思います。

どんな患者さんに対しても対等に接するのを心掛けて働くと良いと思います。

働く場所によって、利用者との距離の取り方にも少し違いがありますね。しかし職場が違っても、「あくまでお客様であるという前提を忘れずに、気持ちよく利用してもらいたい」という考え方は、どの職員も変わりません

まとめ