1. ホーム
  2. 介護業界なんでもコラム
  3. ≫2025年問題とは?介護・医療難民とは?近い将来迫りくる社会課題について、介護の視点で考える

2025年問題とは?介護・医療難民とは?近い将来迫りくる社会課題について、介護の視点で考える

この記事の監修者 池田 正樹(介護支援専門員 介護福祉士 社会福祉主事)
池田 正樹 山形県出身。大学卒業後、約14年間福祉の最前線で活動している。介護支援専門員、通所介護・有料老人ホームの生活相談員、認知症対応型共同生活介護の介護員、福祉用具専門相談員、訪問介護管理者等を経て、現在は在宅の要介護者を支援する介護支援専門員として勤務。障がい者・児の資格もあり、福祉全般に幅広く経験・知識を持つ。 続きを読む
介護・医療難民が深刻化する2025年問題まであと数年。将来の介護業界に向けてできる対策と私たちが日頃から意識しておきたいこととは?

介護難民

現在日本は深刻な高齢社会を迎えようとしています。

その中でも、介護が必要な人に適切な介護サービスが提供できなくなることが懸念されており、施設入所への待機者が年々増加しています。

国は施設入所への流れを抑制するため、“在宅介護”や“予防介護”を中心とした地域包括ケアシステムを重点に置いた政策をしています。

しかしながらが、未だに深刻な社会問題となっています。また、医療を受けたくてもうけられない“医療難民”も増えています。

ベッド数の減少などにより、医療的ケアはあまり必要としなくても在宅で生活するには困難である状態の人(精神的不安定・吸引・胃ろう・経管栄養など)が、退院の目途が立たず医療難民になる傾向にあるのです。

このような現状を前に、私たちができる対策はあるのでしょうか?

介護難民の原因や問題をピックアップし、将来の介護業界の展望について考えてみました。

そもそも2025年問題とは?

2025年ごろには団魂の世代が後期高齢者になり、介護や医療・社会保障などさまざまな面で生じる問題を懸念されることから、「2025年問題」といわれています。

そこで、介護・医療・社会保障それぞれに考えられる問題についてお話ししましょう。

子供を産む人も少なくなっているため、少子高齢化がますます加速してしまい、若者に与える負担が大きくなっているのです。結果的に、将来世代のリスクが高まっています

介護に関する問題

介護に関する問題として一番に考えられているのが、“要介護者の急増”です。

要介護者が増えても介護者の数が圧倒的に足りないため、問題視されています。

厚生労働省の「今後の高齢者人口の見通し」では、2025年には65歳以上の高齢者を1.2人で支えることになります。

しかし、1.2人とは介護職ではなく社会全体での数字のため、介護業界ではより少ない割合で高齢者を支えていかなくてはいけません。

また、認知症高齢者は、2025年には320万人にのぼるとされています。

現在でも介護職に就く人が少なく、慢性的な人手不足に悩まされている中、この問題はとても深刻といえるのです。

医療に関する問題

医療に関する問題では、医療費の増加は避けることができないでしょう。

高齢になるにつれて、病院へいく機会も増えます。

つまり、高齢者が増えることで国が負担する医療費が増えていくということです。

厚生労働省によると、2025年には医療費が推計54兆円ともいわれています。

次に問題視されているのが、「医師や病院の不足」です。

医師不足や病院の不足などが問題視され、現在でも医師不足などから救急搬送時にたらい回しにされてしまうケースもあります。

今後高齢者が増え続けることで、より医師・病院不足が深刻化し、たらい回しや受け入れ先がないなどといった問題が数多く発生することも予想できますね。

社会保障に関する問題

先にお話ししたように、高齢者が増えると医療費・介護費が増加します。

それによって、社会保障に必要な金額が急増することが予想できます。

また、高齢者が増えるということは、年金の支給額も増えるため、年金制度が立ち行かなくなることが懸念されます。

  • 支給年齢の引き上げ
  • 年金支給金額の減少

などが考えられるため、最悪は年金制度が崩壊してしまう可能性もあるのです。

介護・医療に関する社会問題に関してはコチラの記事を参考になります。

2025年問題とは?介護・医療難民とは?近い将来迫りくる社会課題について、介護の視点で考える

介護難民って何?

2025年問題の介護で注目されている問題の中に、「介護難民」があります。

ここでは、介護難民について解説していきます。

介護難民とは

まず介護難民とは、身体的に介護が必要にもかかわらず、

  • 介護施設に入所できない(施設に空きがない)
  • 介護サービスを受けることができない

などといった方をいいます。

2025年以降、後期高齢者が増えそれに伴い要介護者も増える中、受け入れてくれる施設も介護をしてくれるサービスを提供してくれる施設も足りなく、家族が介護をするしかなくなるでしょう。

また、場合によっては介護を受けることができない高齢者も増えることが予想され、大きな問題として考えられています。

介護難民が増える理由

では、どうして介護難民が増えるのでしょうか。

考えられる要因として、次の3つがあります。

  • 要介護者や認知症高齢者の増加
  • 介護職員厳しい労働条件
  • 介護職員の不足による介護施設の減少

それぞれについて、詳しくお話ししていきます。

要介護者や認知症高齢者の増加

2025年に団塊の世代が75歳以上になると、要介護者の割合が増えることになります。

この世代だけで推定で100万人の要介護者が出ると言われています。

要介護者が増えるということは、認知症高齢者になる割合も増える可能性があります。

2012年では認知症高齢者は460万人であり、今後高齢者の割合が増えていくため、2025年には認知症高齢者が700万人になると言われています。

要介護者や認知症高齢者にならないため、早期の介護予防や対策が大切です

介護職員の厳しい労働条件

これから高齢社会が加速する中で、介護職員不足が深刻になっています。特に問題なのが先ほどもお伝えした2025年問題です。

2025年に後期高齢者が増加すると見込まれる影響で、介護職員が約240~250万人不足すると言われています。

介護職員は他の企業よりも給料や待遇面で低く、離職率が高いことが課題です。

給料面の他に、夜勤業務や肉体労働が続き、長く働くことができなくなってしまうことや、社内の人間関係などが原因です。

国では給料面や労働環境の改善のために様々な対策をしていますが、大きな改善ができていないのが現状です。

働き手が不足すると、労働環境も悪くなり、介護職員の質の低下が懸念されます。適切な介護サービスを受けることができなくなるため、介護難民が増える原因となるのです

介護職員の不足による介護施設の減少

介護施設が介護職員などの従業員不足を実感している割合は、全施設の半数以上であると言われています。

介護職員として採用されても、労働環境・条件が原因で1~2年で辞めてしまうことが多く、新人が思うように育たず戦力となる職員が少ないことにも頭を抱えています。

高齢化が社会問題となり、民間企業も介護業界に参入することが増えました。

しかし、働き手の確保が難しいため、高齢者の人口の数に、施設や労働者の数が追い付いていかないのです。

そのため、介護難民が増える原因となっています。

また、介護施設の不足は痰吸引や経管栄養を必要とする人の受け皿が足りないということになるため、後述する医療難民の増加にも影響しています。

医療難民はなぜ生まれるの?

要介護者の中には、喀痰吸引や経管栄養といった医療行為を必要とする方も多いです。

しかし、2025年問題の中には医療難民の増加が懸念されています。

どうして医療難民は生まれてしまうのか。

詳しくお話ししていきます。

医療難民とは

医療難民とは、

  • 長期的な入院ができず短期入院になってしまい、医療を受けることが難しい
  • 喀痰吸引や透析治療を継続的に必要であっても、受け入れてくれる施設が少ない

などといった理由で、希望する医療を受けることが難しくなることをいいます。

ではどうして医療難民が増えるのでしょうか。

医療難民が増える理由

2025年、後期高齢者が増えると共に医療難民も増える理由としては、次の3つがあります。

  • 高齢者が増加することによって、医療を必要とする人口が増える
  • 国による病床のダウンサイジングの意向
  • 医師や病院不足

政府は、病床の機能を明確化し、需要に応じてベッド数の調節を地域ごとにはかる、地域医療構想の実現のため、病床のダウンサイジングを進めています。

地域医療構想を実現することで、軽い症状の方が高度医療を必要とする病床を使用するといった病床の使い方を失くすことができ、結果医療体制としても効率化されることが期待できます。

しかし、現状でベッド数も足りない状況であるため、ダウンサイジングを行うとより足りなくなることは容易に想像できすね。

地域医療構想では、慢性的な医療よりも、急性的な回復を必要とする病床数を増やす構想になっています。

特に喀痰吸引や経管栄養といった高齢者は、慢性的な治療になるためますます医療難民が増えるでしょう。

また、肝心の医師や看護師など病院での働き手が不足しているため、病院としても患者を受け入れることが難しいということもあります。

介護・医療難民の現状は?

介護・医療難民は、“高齢者の増加”が大きな原因の一つとなっています。

2015年時点で要介護状態の人は約600万人いると言われています。

高齢者が多ければ介護サービスや病院にかかる人も増え、医療費への膨大な負担やベッド数の減少により、治療が受けたくても受けられない人が増えてしまうのです。

また、特別養護老人ホームへの入居を希望する人の数も増え続けて、2017年現在、入所待機者数は36万人を突破しています。

入居施設に空きがないのであれば在宅介護が必要になりますよね。

しかし核家族世帯の増加により、家族が遠方にいるなどで介護などの適切な対応ができない影響が大きいことが現状にあり、高齢者世帯のうち三分の二が単身で老夫婦世帯も増加し、高齢者同士で支え合う老老介護の問題が発生しています。

施設・病院・在宅でも大きな問題が。このような現状から、施設介護には限界があるため、在宅を中心としたサービスの充実が急がれています

介護難民への4つの対策

2025年問題が本格化する前に、介護難民を増やさないために次の4つの対策を取ることが、以下の介護業界では急務になります。

  • 介護職員や介護施設を増やす
  • 外国人労働者を増加させる
  • 都市部から地方へ移住サポート
  • 要介護にならないために予防をする

それぞれについて解説しましょう。

介護職員や介護施設を増やす

まずは働き手と施設の確保が大切であり、賃金対策や社会的地位の見直しを行います。

介護職員の社会的地位が低いことで、質の低下が問題となっているため、まずは介護職員が重要な役割を持つことを社会全体に周知させます。

質の高い介護職員を育成することで介護サービスの質が高くなり、家族の介護負担が減って女性や高齢者の労働参加が可能になります。

労働人口が増えることで、施設サービスを増やし、介護難民を解消させます。

外国人労働者の増加や介護ロボットの普及

人材不足だけでは補えないという考えから、優秀な外国人労働者に日本で長く働いてもらったり、介護ロボットを普及させます。

現在外国人の介護福祉士試験が難関と言われており、合格できなければ帰国せざるを得ない状況が続いています。

外国人労働者の受け入れ人数の拡大や、研修・国家資格の制度の見直しを行い、他国へ貴重な労働者が流れないように対策をすることが課題となります。

介護ロボットは経済産業省と厚生労働省で介護現場へ普及させる動きが進んでいます。介護ロボットを普及させることで、現場職員の負担を軽くできるというメリットがあります。

しかしあくまでも介護職員の補助的な役割であることが多く、直接的な解決になるのはまだまだこれからだと言えます。

都市部から地方へ移住サポート

首都圏に集中している高齢者を、施設や介護士に余裕のある地方へ移住させるというサポートです。

高齢者の割合を分散させ、均衡することで地域の負担を解消する狙いがあります。

しかしこれは賛否両論となっています。

首都圏は高齢者が多くなるとはいえ、その分若者などの働き手が他の地方よりも多いのです。

全国的に見れば若者が都心に流れて高齢化が進み、首都圏から高齢者を受け入れるような余裕のある地方がないのが現状であり、やや強引な政策であると言われています。

また、高齢になって地方へ移住したいと考える人が少なく、今まで住み慣れた場所で余生を過ごしたいと希望する人が多いのです。

まずは、地方にいる若者が首都圏に進出する流れを止めていくことへの対策をすることが大切だと言われています

介護予防

これから増えていく高齢者への対策として、地域包括支援センターが中心となり、介護予防を重点に置いた地域活動が活発になります。

地域で高齢者に積極的に介護予防を呼びかけ、体操やサロンなどに参加することで、要介護者や認知症になることを予防する動きが地域で活発になっています。

医療難民への対策

介護難民への対策と共に、医療難民への対策も並行して行うことが必要です。

その対策として、政府は介護と医療の強い連携を求める「地域包括ケアシステム」の実現を打ち出しました。

医療としては、医療体制の強化や効率化を図ることを求められているのでご紹介します。

入院医療の視点

入院を必要とする医療については、その役割を次のように明確にすることが大切です。

役割 内容
高度急性期機能 救急救命病棟など急性の患者を対象に、治療高度が極めて高い病床
急性期機能 急性の医療を必要とする治療高度が高い病床
回復期機能 自宅へ復帰へ向けた病床
機能回復のためのリハビリテーション
慢性期機能 長期治療が必要な病床
長期治療を必要とする難病患者

病床自体を役割に応じて区別することによって、必要病床数に応じて現状とのギャップを埋めていくことができます。

外来医療・在宅医療の視点

外来医療では、高齢者ができるだけ自分の能力に応じて自立した生活を送ることができるよう、「かかりつけ医」としての役割が求められています。

また、外来医療と在宅医療の連携を図ることによって、主治医として日常的な医療支援なども期待できます。

従来の自宅でリハビリや医療を受けることが難しいために、やむなく入院をするといったケースを失くし、外来医療と在宅医療の連携を強めることで、医療難民といった状況を作らないようにすることが求められているのです。

連携ネットワークの深化・醸成

今まで医療と介護では財源や権限も別でしたが、2025年には両者の権限・財源が各都道府県へ移管することも考えられています。

つまり、医療と介護は今後地域主体で動くということになるので、今後の高齢者の増加は必須です。

その結果、施設や病院には限りがあるため在宅医療の需要が高まるでしょう。

在宅医療では、今まで以上の医療と介護の連携ネットワークが必要とされています。

社会全体で、2025年問題に立ち向かうべく「地域」「医療」「介護」が連携ネットワークを構築し確固たるものにすることが必要不可欠です。

介護・医療難民に対して私たちができること

団塊世代が後期高齢者になることで話題の2025年問題を中心に、介護・医療難民についてご紹介してきました。

国は少子高齢化を重く受け止め、さまざまな対策をしています。

介護職員不足・施設不足が大きな問題となっており、労働条件の対策や質の高い介護サービスが、これからの高齢社会を支える要となります。

そして、高齢者の人口増加を食い止めることはできないため、介護・医療難民にならないために私たち一人一人の意識が非常に大切になってきます。

家族や近隣とのつながりを大切にして、困っている人を支え合う社会を作っていきましょう。自分の老後をどう過ごしていくのか?を考えることが大切です。