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保育士が知っておくべき発達障害の見極め方&障害の可能性がある子どもとの接し方について

気になる行動はなぜ起こるのか?行動の背景には理由があって接し方のヒントがそこにある!

子どもの様子や行動を見て何らかの違和感があった時、保育士は「もしかして障害の可能性があるのかも」と気になります。発達障害かどうかを早急に判断したくなりますが、冷静にじっくりと見極めることが大切です。

保育士はまず「子どもの様子や行動にはどんな理由があるのか」をよく考えることが大事!理由が理解できれば「どう接すればいいのか」「どんな対応がベストなのか」が見えてきます。

今回は、保育士が気になる子どもの特徴をピックアップして、その背景と対応のヒントをお伝えします。

発達障害には個人差がある!

脳の機能や構造に偏りがあるため、発達の仕方に違いがある状態のことを「発達障害」といいます。
感じ方や行動の違いが著しく、生活全般にわたって何らかの支障があります。

まず発達障害には様々な種類があります。主なものとしては「自閉症スペクトラム障害」「注意欠如多動性障害(ADHD)」「学習障害(LD)」などがあり、他の障害の特性を併せ持つことも多くあります。

どの特性が強いのかはひとりひとり異なるので、本人の様子や行動にも個人差があります。知的障害を伴う場合もあり、障害が重複しているケースも多くあります。

幼児期または学童期では周囲の大人が障害に気づきます。思春期または大人になってからは、学校や職場で指摘を受ける場合と、本人や家族が関係機関などに相談する場合があります。それぞれの「診断に至る経緯」は、障害の程度や特性、知的障害の有無、本人や家族の考え方によって違ってきます。

赤ちゃんの頃よりも2~3歳になってからの方が「気になる行動」が多くなります。特に集団生活の中で顕著に表れるので、保護者よりも保育士が先に気づくケースも多くあるカモ!

気になる行動の背景には理由がある!保育士はどのように対応していけばいいのか?

保育園で見られる「気になる行動」にはどんなものがあるのか、具体例をあげてみましょう。そして気になる行動の背景には、どんな「理由」があるのか、どのように対応していけばいいのかをお伝えします。

1.コミュニケーションがとりづらい

現場の保育士より

「視線が合わないと感じています。本人に向かって話しかけても、私の目を見ようとしません。スキンシップをとろうとして抱っこをしても、抵抗して嫌がりすぐに逃げていきます。どのようにコミュニケーションをとれば、信頼関係が築けるのでしょうか。」

「コミュニケーションがとりづらい」どんな理由があるの?

視線が合わないのは、主に下記のような理由が考えられます。

  1. 関心がない、違うものに関心が向いている
  2. 「聞くこと」と「見ること」を同時に行うのが難しい
  3. 緊張している、相手を見るのが怖い
  4. 相手が言っていることがよく分からない

以上のように、スキンシップを嫌がる理由としては、触られるのが嫌だからと言えるでしょう。力を入れなくても、本人にとっては押さえつけられているような非常に強い刺激を感じます。そのため抱っこは「痛くて不快なもの」と判断してしまい、無理に行うとストレスになります。

「コミュニケーションがとりづらい」どう対応すればいいの?

まずは、「他の子どもとはコミュニケーションのとり方が違う」ということを保育士がしっかりと認識しましょう。「子どもはスキンシップが大好き」という既成概念で見ていると、いつまでも「どうして抱っこを嫌がるの?」と感じてしまいます。

子どもにとって「安心できる存在」になるためにも、子どもの気持ちをタイムリーに受けとめることが大切です。不快な時、苦しい時に、自分の気持ちを察してくれる存在は、「自分を助けてくれる人だ」と安心できます。

保育士は「良き理解者」「良きサポーター」になることで、子どもとの信頼を築くことができます。言葉や態度に出すわけではありませんが、少しずつ距離感が変化します。それを発見するのも保育士の喜びです。子どもが慣れてくると保育士の側にちょこんと立っている時もあります。

それは信頼が育っている証!こういう瞬間が嬉しくて感動カモ~!

2. じっとしていない

現場の保育士より

「とにかく落ちつきがなく、じっと座っていられません。他の子は静かに座って保育士の話を聞いているのに、ひとりだけ部屋をウロウロしています。座るように促しても、すぐにまた立ち上がり歩き出します。今は歩かないでねと言っても分からないようです。」

「じっとしていない」どんな理由があるの?

子どもに落ちつきがない要因には、発達障害の特性が影響していることが考えられます。話に興味がない、話に集中できない、周囲のことに気をとられやすいなどの様子が見られますね。

じっとしていないのは、わざとではなく反抗による行動でもありません。本人にとっては「集中し続ける」ことが困難なので、自然に意識が向かなくなってしまうのです。何か他のものが目に入った時は、意識が完全にそれてしまい、保育士の話はもちろん存在すらも忘れてしまいます。

「今どうするべきか」という判断をして動くことが困難なため、本人にとっては遊びがまだ続いている感覚なのかもしれません。好きな遊びを楽しんでいる状況から、座って話を聞くという状況に切り替えることが非常に難しいようです。

「じっとしていない」どう対応すればいいの?

保育士が言っていることの理解や、周囲の動きに合わせることが困難なので、あれこれと説得することは逆効果だと思われます。叱られても意味が判らないので「先生、恐い」と感じるだけになってしまいます。

まずは、室内環境に気を配りましょう。ドア・窓・カーテンを閉めて、光や音などが気にならないようにします。必要があれば、壁やロッカーなどを布などで隠すことも効果があります。本人が気になるものを想定して、細やかな配慮をすることが必要です。

そのほかにも、絵カードやマークを利用して本人が目で見て理解できるように工夫します。布やダンボールで子どもが座るマットを作り、本人が好きなものの絵を描いてマークにします。絵カードには「子どもがマットに座っている絵」を描き、「今はマットに座る時間」だと本人が判るようにします。また椅子にもマークをつけて、同じように活用してもいいですね!

子どもは「保育士のすぐ近く」に座るのがいいカモ!すぐそばにいることで個別に配慮しやすくなりますよ。子どもにとっては、保育士がすぐ目の前にいるので少しだけ意識が向くようになるカモ!

3. 会話することが難しい

現場の保育士より

「オウム返しが多く、こちらが話した言葉をそのまま返します。自分から話すことが少なく、指差しで欲求を伝えることもあります。自分の気持ちを言葉にして伝えることが難しいようです。」

「会話することが難しい」どんな理由があるの?

まず耳が聞こえているかどうか聴覚について、確認が必要です。聞こえに問題がなければ、発達障害の可能性があるかもしれません。発達障害には「コミュニケーションをとるのが難しい」という特性があります。自分から人に関わることがないので、コミュニケーションの手段である「言葉」を必要としないのです。

相手が言ったことにどう答えればいいのか混乱し、相手が話した言葉をそのまま返すこともあります。言葉数が少ないので、指差しで伝える子どもも多いです。また気持ちを表すワードが判らないので、言葉による感情表現をしない傾向があります。

「会話することが難しい」どう対応すればいいの?

保育士が話していることが長くて、意味が判らないことも多くあります。話す内容はなるべく短く簡潔に!単語や二語文でも構いません。子どもが理解しているか様子を見ながら話しましょう。

会話を無理に行うことは、子どものストレスになります。会話よりも優先されることは、子どもと保育士が「意思の疎通」をはかること。イラストまたは写真でカードを作成し、子どもが自分の欲求を意思表示できるようにしましょう。

 
ここで保育士カモから大事なことひとつ!

「ことばの発達」については、発達障害の有無に関わらず個人差があります。「もしかして障害があるのでは?」と思っても、成長が少し遅いだけということもよくあることです。そのため言葉の問題だけでは「障害があるという判断」はできません。

4. 友だちと遊ばない

現場の保育士より

「いつもひとりで遊んでいます。同じ絵本をずっと読んでいたり、ブロックを並べていたり。時にはジャンプや回転をし続けるなど、遊びとは言えないようなことも繰り返します。」

「友だちが誘いにきても返事がなく、保育士が誘っても違う方向を見ていて仲間に入ろうとしません。他の子どもたちが楽しそうに遊んでいても、本人はいつまでもひとり遊びを続けています。」

「友だちと遊ばない」どんな理由があるの?

興味が向いたもので繰り返し遊ぶことが「心の安定」につながります。何度も何度も同じ行為を繰り返すことで、集団の中にいる緊張を忘れることができるようです。ぐるぐる回転することも、自分に同じ刺激を与えることで「不安や緊張」から解放されています。遊びには見えなくても、本人にはとても楽しいことなのです。

友だちや保育士が誘っても一緒に遊ぼうとしないのは、興味うをしめいしていないからです。関心が向かない遊びに参加させられるのは、本人にとって大きなストレスになるため注意しましょう。

「友だちと遊ばない」どう対応すればいいの?

単調な遊びを繰り返すだけでも、本人はリラックスして遊んでいます。楽しんで満足している様子であれば、他の遊びに誘うことも、集団遊びに入るよう導くことも、無理にしなくていいのです。たとえ遊びに見えなくても、本人はいまの状態を楽しんでいます。保育士は「子どもは友だちと遊ぶのが大好き」という既成概念にとらわれず、本人の「ありのまま」を受け入れて見守っていきましょう。

さらに保育士は、本人の「好きなもの」「好きなこと」をより多く把握し、それらに関連した絵本などを準備しましょう。家ではどんなことが好きなのか、保護者に聞いてみるのもいいですね!

保育士には「友だちと一緒に遊ばせたい」という思いがあるカモ!でもそれは、あくまでも保育士サイドの一方的な望みにすぎないのです。無理に誘われることは、大人が想像する以上のストレス!本人が楽しんでいる状態を見守りたいカモ!

4. 強いこだわりがある

現場の保育士より

「こだわりが強くて困っています。お気に入りのものが同じ場所にないと、泣いてパニックになります。絵本も同じ順番で並んでいないと怒ります。自分の定位置に他の子が座っていると、押したり叩いたりすることもあります。」

「強いこだわりがある」どんな理由があるの?

障害特性としての「こだわり」とはどんなものでしょうか。簡潔に言うと「あるものを常に同じ状態にしようとする」ということ。あるものが何であるかは子どもによって違いますが、主に「物」「場所」「生活パターン」であることが多いです。いつも同じ物でなければ不安、いつも同じ場所になければ不安、いつも同じ順番で行動しないと不安なのです。

周囲からは「わがまま」に見えてしまいますが、本人にとっては大問題!「いつも同じこと」が無くなったり変化することは大きな衝撃であり、興奮してパニックになるほどのストレスなのです。

「強いこだわりがある」どう対応すればいいの?

本人の「こだわり」を受け入れて、同じ状態を保つようにします。他の子どもや保育士にも事情を話して、協力を得るようにしましょう。新しいものに替えたり、場所を移動させることが必要な時は、前もって本人に伝えるようにします。いきなり行うのではなく、少しずつ変えていくのがポイントです。

急に変化することが一番のストレスなので、本人の様子を見ながら時間をかけて慎重に行うようにしたいカモ!

5. 自傷行為

現場の保育士より

「頭をこぶしで叩いたり、自分の手をかんだり、壁に頭を打ちつけるなどの自傷行為があります。ケガにつながるので止めさせたいのですが、何かいい方法はないか悩んでいます。」

「自傷行為」どんな理由があるの?

思い通りにならなくてかんしゃくを起こした時、不快な時、いつもと違うことが起きた時など、興奮が高まると自傷行為をすることがあります。気持ちをコントロールすることが難しく、言葉で感情をぶつけることができないため、エネルギーを自分の体に向けてしまうと考えられています。

自傷行為をするのは、不快な時ばかりではありません。興奮が高まることで起きるので、楽しいことがあった時も自傷行為をすることがあります。

「自傷行為」どう対応すればいいの?

自傷行為に驚いた保育士が、急いで止めさせるために体を押さえつけることがありますが、それは逆効果!いきなり制止され押さえつけられたことで、本人はますます興奮します。

保育士は「行為をやめさせる」のではなく、ケガを防ぐ配慮をしましょう。床や壁に頭を打ちつけていたら、衝撃を和らげるようにクッションなどをはさみます。落ちつくために、静かで狭い部屋に移動するのも効果的です。本人が興奮した時に利用できる「クールダウンの部屋」があるといいですね。

どんな時に興奮するのかパニックになる要因を把握しておくと、事前に「自傷行為」を防ぐことができるカモ!本人の様子を普段から観察することで、興奮状態になりそうなタイミングが判ってくるカモ!

6. 特定の音に対して拒絶反応がある

現場の保育士より
「太鼓の音が聞こえると耳をふさいで泣き叫びます。嫌いなあまり、太鼓を押し倒してしまうこともありました。救急車や非常ベルの音にも同じような反応があります。なだめても抱きしめても泣き止まず、パニックになって暴れてしまいました。」

「特定の音に対して拒絶反応がある」どんな理由があるの?

発達障害には「感覚過敏」という特性があります。におい、音、光、触られた感覚など、極端に強く感じてしまいます。一般的には不快といえない程度のものでも、本人は強烈な刺激を感じています。

聴覚が敏感な子どもは苦手な音が聞こえるとひどく嫌がり、泣き叫んでパニックになることもあります。音が大きく、激しく、しつこく聞こえてしまうので、それはもう大変な恐怖!周囲が想像する以上に、本人は辛く苦しい思いをしているのです。

「特定の音に対して拒絶反応がある」どう対応すればいいの?

保育士は「どんな音が苦手なのか」を把握しましょう。より多くの情報を把握していれば、本人がパニックになることを事前に避けることもできます。音を鳴らすことが予定されている時(運動会の練習、避難訓練の非常ベルなど)は、事前に本人に伝えておくことも大事なポイントです。

拒絶反応があった時の対応については下記の通りです。

  1. 音を消す、ボリュームを下げる
  2. 静かな部屋に移動させる
  3. イヤーマフや耳栓を利用する

対応する時に「この音、嫌い?」と本人に聞いてみましょう。その上で「嫌いって言ってくれれば、すぐに消すからね」と伝えます。

「これ嫌い」と言って対処してもらえることが分かれば、それからは自分で意思表示をするようになるカモ!

担任保育士としてどんなことを意識すればいいの?

自分が担任する子どもに「障害の可能性」がある場合、保育士はどんな意識をもって保育にあたればいいのでしょうか。ここでは3つのポイントをご紹介します。

1. 発達障害の可能性をどう見極めるか
子どもの気になる行動が「発達障害の特性」と合っていれば、気持ちが急いてしまいすぐに「障害かも」と考えてしまいます。目に見える行動や様子だけで判断するのではなく、「本人の行動にどんな理由があるのか」「どうすれば安心するのか」を確認した上で見極めることが大切です。

特性と照らし合わせるだけではなく、自分で確認した情報も含めて判断材料にしましょう。

発達障害の可能性について、幼児期では判断しづらい特性も沢山あります。特に「言葉」や「落ちつきのなさ」などは、成長と共に変化することもあるので様子を見ていくことが必要です。また保育士はひとりで判断せず、上司や同僚の意見も聞いてみましょう。

2.障害があるということをどう受けとめるか
障害を理解するということは、障害の種類を知り、特性について詳しくなることだけではありません。知識以上に必要なものは、「障害があるということ」をどう捉え、どう理解するかです。

障害があるということへの受けとめ方は、保育士の価値観によって違いがあります。また障害がある子どもを自分の中でどのように考えるか。それによって保育士の意識が違ってきます。

障害の知識だけで「頭でっかち」になってしまうと、自分が知っている情報に子どもをあてはめようとします。それでは「障害を理解している」とは言えないのです。

そこでまず大事なことが3つあります。

  1. 本人にどんな特徴があるか細かく見ること。
  2. 本人が何を見ているか考えること。
  3. どうすることが本人にとってベストなのか工夫してみること。

この3つを経て、障害があるということの「理解」につながります。

3.保育の大変さがストレスにならないようにする
障害の可能性がある子どもとの関わりは、慣れるまで葛藤が続き労苦が多いもの。そんな毎日だからこそ、自分の気持ちを誰かに聴いてもらうことが必要です。同僚や先輩、上司など、信頼できる人に話すことでスッキリし心が軽くなります。

真面目で真剣に取り組んでいる保育士ほど、「大変だ」とは口に出さない傾向があります。何かを言うことで、子どもを差別しているような良心の呵責を感じてしまうのです。

「大変だ」という気持ちを自分の胸にしまい続けると、知らない間に大きなストレスになってしまうことも!心の健康を保つためにも、保育士は何らかのストレス対処をする必要があります。

職場に話せるような人がいない時は、関係機関の相談員に話してもいいカモ!何か良いアドバイスがもらえるカモしれませんね。

保護者への働きかけは慎重に!事前に上司や同僚に相談して助言をもらうこと!

子どもに障害の可能性がある場合、その問題をどうやって保護者と共有するかは「保育士の課題」でもあります。保護者にはそれぞれ個性があり、子どもの問題をどのように感じているかにも個人差があるからです。

常日頃から「もしかしたら障害があるかも」と疑っている保護者もいれば、「え?何のこと?」と全く考えていない保護者もいます。そこで、どのように働きかけるかは保護者の認識や性格に合わせて慎重に言葉を選ぶ必要があります。

また子どもに障害があるという現実は、保護者の心を打ちのめします。絶望し、生きていく力が無くなるほどの衝撃を与えてしまうこともあるのです。保護者自身が自己否定し、前向きな気持ちになれるまでは時間がかかります。そんな保護者を受けとめ、支えていくことも、保育士の努めといえますね。

また保護者に伝える時は、事前に上司や同僚に相談をしましょう。担任保育士ひとりの判断で勝手に伝えてしまうと、後でトラブルが起きることもあります。園にとっても大事な問題ですから、職員みんなで問題を共有することが大切です。

支援はこれからが大事!

障害の有無を判断することがゴールではなく、保護者に伝えてからが「支援のスタート」です。子どもをより深く理解するためには努力が必要!最善の保育ができるようにしたいものです。

子どもの良い理解者になり、保護者が信頼できる支援者になりたいですね。保護者の気持ちに寄り添いペースを合わせることがポイント!よかれと思ってぐいぐい進めてしまうと、相手の負担になってしまいます。

保育でも、支援でも、相手の様子をよく見て、どうすることがベストなのかを常に考えること。大切なのは保育士の思いではなく「子どもと保護者の思い」です。