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薬剤師不在の無資格調剤で一番の被害者は誰でしょうか?

1種類の錠剤だけの調剤なら無資格でも良いと思ったりしていませんか?その後に待ち構えている危険性を認識しないといけません。

2017年11月17日、こんなニュースが流れたのをご存知でしょうか。

近畿厚生局は2017年11月13日付で、無資格調剤を行ったある薬局について、保険薬局の指定の取消相当とすると発表した。

※参照 近畿厚生局

通常このようなケースの場合は「取消」処分を行うことが一般的なようですが、この薬局がすでに廃業していたため、「取消」を適用することができず、「取消相当」という処分がなされたようです。

この薬局が廃業となった経緯は次の通りです。

2015年3月、無資格調剤をしている可能性があるという情報が近畿厚生局に寄せられ、立ち入り検査をした結果、その事実が判明しました。

そのため、近畿厚生局は2015年3月26日から4月16日までの22日間、業務停止命令を下しました。

その後、個別指導をした結果、薬局の開設者は薬剤師資格を有していませんでした。もちろん薬局を開設するだけであれば、薬剤師資格は必須ではありませんので、問題ありません。

問題となったことは、その開設者が調剤行為を行ってしまったことです。

それを受けて個別指導を中止し、監査に切り替えて徹底的に調査が行われた結果、30名分の不正請求の事実が確認されました。
その後この薬局は2017年10月31日付で廃業したようです。

今回発覚した無資格調剤は、おそらく氷山の一角なのかもしれません。もちろんそうではないことを切に願っています。

無資格調剤について今一度一緒に考えてみたいと思います。

なぜ無資格調剤が発生するのか?

無資格調剤とは、医師・歯科医師・薬剤師以外の者が、医師または歯科医師が発行する処方箋に基づいて調剤を行い、患者さんに投薬する行為を指します。

これは薬剤師法の第四章・第一九条(調剤)の箇所に規定がされており、例外がないことはご存知の通りです。

海外では、一定の条件を満たすことで薬剤師の資格を有さない者でも調剤と投薬を行える国もあるようですが、日本においてこれは適用されていません。

PTPシートで包装された錠剤1剤の処方箋であれば、間違うこともなく、問題ないと思う人もいると思いますが、残念ながら簡単であろうとなかろうと関係なく、薬剤師、医師、歯科医師以外の調剤行為は認められておりません。

ここまで厳密に規定されており、薬剤師の方はもちろんですが、薬局開設者であってもこの規定は十分知っているはずです。しかし、なぜこのような無資格調剤が起こるのでしょうか。

考えられる要因1

無資格調剤の大きな要因は、もちろん薬剤師不足です。絶対的な薬剤師不足、休憩時間や勤務シフト都合による薬剤師不足が考えられます。

このケースの場合、もし薬剤師が無資格調剤を助長したり、容認している場合は除きますが、問題は経営者や管理薬剤師などの管理職・マネージャーにあると考えます。

薬局開業当初のように処方箋応需枚数が予測できない場合、薬剤師不足が起こることはありますが(通常は多く配置するため、まずありえませんが)、ある程度の期間が経過した後は、処方箋の枚数を予測することはできます。

もし、薬剤師不足が原因で無資格調剤が起こっている・していて、管理職が把握しているにもかかわらず、改善しないようなら、それはおそらく確信犯だと思います。利益にばかり目が向いてしまっているのだと思います。

考えられる要因2

門前にあるクリニックの休憩時間に合わせて、薬剤師も休憩を取得しているケースで、たまたま薬剤師が不在であった。患者さんに「何とかしろ」と怒鳴り込まるなどして、困った無資格者が違反とは知りつつ、無資格調剤を行ってしまった。

このケースでは、無資格者の善意(良かれと思って)に基づいています。

しかし、これは絶対にしてはいけないことです。薬剤師法違反です。つまり法令に違反しているため、処罰を受ける対象になります。

無資格調剤としてニュースに取り上げられる原因のほとんどは、開設者・経営者の利益優先に伴うものなのだカモ。

もし、開設者・経営者が無資格調剤をしていたり、強要してきた場合には、適切な対応をすることを心がけてほしいのだカモ。

無資格調剤で受ける被害を考えてみましょう

薬局の利益を重要視したケース、善意で致し方なくやってしまったケース、そのほかにも無資格調剤につながる要因はいろいろとあると思います。

その結果誰が被害を受けるのでしょうか。今回のニュースのように保健薬局の指定取り消し処分が下された場合、経営者やそこで働く人たちは職を失うことになります。

利益に目がくらんだ経営者であれば自己責任であるため当然のことだと思いますが、善意で行った場合でもあっても下される処分は同じです。

つまり、良かれと思ってやったことであっても、ご自身にも同僚にも大きな影響を与えることを認識する必要があります。

それよりももっと重要なことがあります。それは患者さんに対してです。

無資格、つまり薬剤師専門の教育を受けていない者が調剤を行った場合、医薬品の使用方法を適切に伝達することができず、発生しうる副作用を伝達することができません。

もし、副作用様の症状があった場合、患者さんはそれを副作用とすら認識することができず、治療が遅れてしまう可能性も大いにあります。

薬局あるいは薬剤師の使命は、患者さんの健康を守ることです。医薬品を正しく使用した場合に患者さんに健康被害が発生したとしても、それを最小限に食い止めることも使命に含まれています。

それができるのは、薬剤師資格を有した薬剤師のみです。

このことを薬剤師は当然ですが、薬局で働くスタッフ、開設者など、薬局にかかわるすべての人が理解しておかなければなりません。

薬剤師の使命は患者さんの健康を守ることなのだカモ。それ以上のことは存在しないのだカモ

コンプライアンス(法令)遵守が重要です。

コンプライアンス違反であり、大きな処罰を受けることになります。さらには患者さんの健康被害につながります。コンプライアンス遵守は難しいことではありません。

もし、違反かもしれないなと思った場合は、一度立ち止まってみて、少しでも疑問に感じることがあれば、誰かに聞いてください。たったそれだけのことで、でコンプライアンス遵守が可能なのです。

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