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薬剤師がやる仕事の範囲とは?必要ない業務を減らしてほしい

保健薬局薬剤師ができる仕事は、近年増えています。

保健薬局の薬剤剤の仕事と聞いて、まず思い浮かべるものは、処方箋に基づく調剤とそれに続く服薬指導業務だと思います。
確かにその通りです。しかし、それは患者さんサイドから見た薬剤師の表面的な業務です。

実際には、その他にも色々な仕事をしています。その仕事の中には、薬剤師でなくてもできる仕事も含まれています。

近年になり、病院薬剤師と同様に、保健薬局の薬剤師も薬局内だけでなく、積極的に薬局外にでて仕事をするようになってきました。

その影響もあり、薬剤師の業務が増えて、薬剤師の残業が増えるなど、労務管理が難しくなったという声があります。そこで管理薬剤師や店長、経営者などの管理する側としては、薬剤師の業務負担を減らすことを考えます。

そこで考えなければならないことが、薬剤師がやってもらう仕事、薬剤師以外のスタッフにやってもらう仕事を明確にするということではないでしょうか。

この点について、一緒に考えてみましょう。

院外処方率の推移

昭和61年度 昭和62年度 昭和63年度 平成1年度 平成2年度 平成3年度
9.7% 10.1% 10.6% 11.3% 12.0% 12.8%
平成4年度 平成5年度 平成6年度 平成7年度 平成8年度 平成9年度
14.0% 15.8% 18.1% 20.3% 22.5% 26.0%
平成10年度 平成11年度 平成12年度 平成13年度 平成14年度 平成15年度
30.5% 34.8% 39.5% 44.5% 48.8% 51.6%
平成16年度 平成17年度 平成18年度 平成19年度 平成20年度 平成21年度
53.8% 54.1% 55.8% 57.2% 59.1% 60.7%
平成22年度 平成23年度 平成24年度 平成25年度 平成26年度 平成27年度
63.1% 65.1% 66.1% 67.0% 68.7% 70.0%
平成28年度
71.7%

上記から今より30年前の分業率は、わずか10%しかなかったのにもかかわらず、その10年後の平成7年度には倍の20.3%になっています。さらに6年後の平成13年度には44.5%、平成15年にはついに50%を超えています。

現在は71.7%の分業率となっており、日本の病院の75%程度が分業していることがわかります。

このことから、保健薬局の薬剤師が調剤する処方箋の数が格段に増えており、調剤業務や服薬指導などの薬剤師がやるべき仕事が格段に増えたことがわかります。

「保健薬剤師の仕事内容は、30年でそれほど変化はありませんが、その業務量は格段に増えているカモ。この業務量の増加をどのように対処していくのか、保健薬剤師は考える必要があるのだカモ。」

薬剤師しかできない仕事とは?

日本において薬剤師にしかできない仕事を考えてみます。処方箋にかかわる業務としては、調剤業務、処方箋監査、服薬指導があります。

処方箋にかかわらない業務としては、登録販売士では販売できない第一類医薬品に分類されるOTCのカウンセリングと販売です。

この中で薬剤師でもなくてもできると思われるもののが、1つあります。それは調剤業務のうち、計数調剤と呼ばれるものではないでしょうか。実際海外においては、計数調剤を含む調剤業務はアシスタントでも可能としています。

では、なぜ日本では必ず薬剤師が実施しないといけないのでしょうか。それは、薬剤師法に以下の通り規定されているためです。

薬剤師でない者は、販売又は授与の目的で調剤してはならない。ただし、医師若しくは歯科医師が次に掲げる場合において自己の処方せんにより自ら調剤するとき、又は獣医師が自己の処方せんにより自ら調剤するときは、この限りでない。

※参照 第十九条(調剤)

つまり処方箋に基づく調剤を行う場合、事務スタッフやその他のスタッフが行うと薬剤師法違反となり、罰則が課せられてしまうためです。

また、医薬品卸から保健薬局に医薬品を納品する際の受け渡しも薬剤師が行わなければなりません。これは医薬品の授受に該当するためです。薬剤師以外のスタッフではできません。

近年になり、保健薬剤師が在宅医療にかかわるようになりました。

薬局を訪問することができないなどの理由から、医師が許可をすれば保健薬剤師が患者さんの自宅まで薬を持参、お渡し、必要な指導を行うことができます。

この業務は、もちろん薬剤師しかできません。

このように薬剤師がやる仕事、しなくてはならない仕事は、一昔前と比較すると非常に多くなりました。

薬剤師がやる仕事とやらなくて良い仕事の境界とは?

これまで述べてきたように薬剤師がやる仕事とは、薬剤師しかできないこと、薬剤師以外のスタッフが行うと法律違反になる仕事は、薬剤師がしなければなりません。

それは法律で決められているからということはもちろんですが、薬学的知識を持っていない場合に、適切なことができない、場合によっては患者さんに健康被害を及ぼす可能性があるような場合は、必ず薬剤師がしなければなりません。

薬剤師でなくてもできる仕事とは?
保健薬局では、レセコン作業、レセプト請求、その他もろもろの雑務、清掃など、薬剤師以外でもできる仕事がたくさん存在します。

これらの仕事をしていただくために、事務専門のスタッフに勤務していただいていることがほとんどだと思います。

薬剤師でなくてもできる仕事は、薬剤師はしなくてもいいのか?
保健薬局に勤める薬剤師は、薬剤師でなくてもできる仕事をしていますが、もし、そのような仕事をすべて事務スタッフなどがするとなるとどうなるのでしょうか。

最初は特に問題にはならないはずです。事務スタッフなどが我慢するからです。しかし、時間が経過してくると、事務スタッフなどに負担がかかりすぎて、心身ともに消耗してしまいます。

その結果、経営者側が考えることは、新しい事務スタッフを追加することだと思います。しかし、そのためには、十分な売り上げが必要です。

つまり新しい事務スタッフを追加するためには、薬剤師はさらに頑張って売り上げを上げないといけないのです。

しかし、処方箋の枚数は劇的に増えることはありませんので、一人のスタッフを雇い入れるための売り上げを上げることは、現実的には難しいです。

スタッフの追加が難しいとなると、業務の割り振りをしないといけません。つまり薬剤師にも、薬剤師以外でもできる仕事をさせることになります。

薬剤師だからこの仕事はしないというような薬剤師さんも、まれに見かけますが、アレは絶対によくないことだカモ。

そのような態度はスタッフ間の雰囲気を悪くするだけでなく、待合室にいる患者さんにも伝わっているカモ。

薬学的知識はとても重要だが、薬局内の雰囲気を良いものとすることも非常に重要だカモ。

まとめ

薬剤師は、薬学的知識を生かして、より専門的なことをするべきだと思います。しかし、それにばかり固執していると、他のスタッフの業務が過剰になり、結果的に薬局が上手く運営できません。

大事なことは、業務のバランスだと思います。保健薬局という1つのチームで仕事を行っているのですから、協力しあうことが大事です。

保健薬局の使命は、患者さんの健康を守ることです。薬剤師の仕事・そうでない仕事という小さなことに固執してはいけません。