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高齢者の多剤服用、薬剤師の現場での貢献が期待される

厚生労働省の「高齢者医薬品適正使用検討会」にて、高齢者の多剤服用の指針の作成が決定されたようです。

2017年8月23日、厚生労働省は「高齢者医薬品適正使用検討会」の中間とりまとめを公表しています。

その主な内容の1つとして、高齢者の多剤服用対策として、急性期や回復期、在宅など各医療現場の特徴に留意したガイドライン(指針)を検討会で作成することとしています。

このガイドラインは医療現場で活用していただくようなものとなるように取りまとめているようです。

保健薬局でお仕事をされている保健薬剤師の印象ですが、高齢者の方で、複数の病院を受診されている方はどれくらいいらっしゃるでしょうか。

総合病院を受診されている場合、複数の診療科を受診されていることも多く見受けられると思います。

また、街のクリニックの場合はどうでしょうか。2つから3つの病院、内科・整形外科・眼科のクリニックを受診されているケースが多く見受けられるのではないでしょうか。

統計によりますと、高齢者のおおよそ6割の方が複数の診療科や病院を受診しているとのデータがあるようです。

保健薬局でお薬手帳を確認すると、そのことが良くわかると思います。

こんな状況で、多くのお薬を服用している多剤服用の状況を打開するために、ガイドラインの作成が検討されているようです。

多剤を服用することで、副作用の可能性が高まりますので、それを予防することにつながります。

また、胃薬などのように同じような効果を持つ医薬品が複数の医療機関から処方されていることが散見されます。

これを減らすことで医療費の抑制にも貢献できるというわけです。

病院や医師は、高齢者の併用薬に注意している??

保健薬局において、同じような医薬品が複数から処方されていると病院や医師は併用薬を本当にチェックしているだろうかというような疑問を持つことはないでしょうか。

総合病院であれば電子カルテ(まれに紙カルテ)を確認することで、他の診療科からどのような医薬品が処方されているのかをすぐに確認することができます。

さらに、処方箋を医師が発行した後に薬剤師による監査が行われるようなシステムを構築している病院も多く、薬剤師によるチェックで重複投与などがチェックされていますので、重複投与や相互作用がある医薬品が処方されることはほぼありません。(100%というわけではありません。)

しかし、クリニックではどうでしょうか。他の病院を受診しているかどうかは、患者さんの申告によります。

もちろん紹介状を持っている場合は、患者さんの状態や併用薬の状況を詳細に知ることができます。

他のクリニックを受診するだけで紹介状を持参する方はまずおりませんので、併用薬を知る手段は患者さんの申告に頼らざるを得ません。

では、クリニックではどのように併用薬を確認しているのでしょうか。内科で高血圧の薬を処方されていて、新たに整形外科を受診したと仮定してみましょう。

医師「他の病院から処方されている薬はありますか?」
患者さん「内科で高血圧薬と胃薬をもらっています。」
医師「医薬品の名前がわかるようなものを持っていますか?」
患者さん「今は持っていないけど、家に帰ったらわかると思います。」
医師「そうですか。では痛み止めと胃薬を処方しておきます。もし、内科で同じ胃薬が処方されているようなら、どちらか1つだけを服用してください。併用して良いかわからない場合は電話してください」

このケースですと胃薬が重複投与されています。作用機序が異なるため重複投与は問題ありませんが、基本的に胃薬は1種類だけで十分です。

このようなケースが多いため、多剤服用という状況が必然的に多くなってしまいます。

現在の診察時間は、3分といわれているのだカモ。それを考えると、医薬品の名前まで確認している時間がないというのは最もだと思うのだカモ。

しかし、医師が積極的に働きかけない限り、多剤服用の問題は解決しないのだカモ。今回のガイドラインは非常に有効だとおもうのだカモ。

高齢者は疑義照会での処方削減を断ることが多い?

保健薬局で処方箋を応需した際、重複投与を確認した場合、患者さんに断りを入れてから、疑義照会を行うことが多いです。

しかし、高齢者の方の中には、「私が服用しなければ良いだけなので、疑義照会する必要はない」といって断る方がいらっしゃいます。

なぜなのでしょうか。

高齢者の方はお医者様がせっかく処方してくれたのだから、それを断るのは悪い。一度断ってしまうと、次に診察を受けた際に心苦しいというような考えから、お断りになるケースが多いようです。

今の現役世代であれば、セカンドオピニオンやサードオピニオンというような考え方も定着しているため、「医師が絶対」という考えは少ないと思いますが、高齢者の場合はそのような考えはないようです。

確かに高齢者の「医者神話」は存在しているのだカモ。その医者神話はあって良いとは思うのだが、その中で薬剤師が、何ができるのかを考える必要があるのだと思うのだカモ。

保健薬剤師こそ、高齢者の多剤服用(重複投与)を防止できる?

現在作成が進められているガイドラインでは、急性期や回復期、在宅などさまざまケースを想定して、多剤服用の回避を狙っているようです。

処方権は医師にあり、保健薬剤師が「その処方はガイドラインに従っていない」というように指摘することは、現実的にできないと思います。

しかし、重複投与に関しては、このガイドラインがあることによって、ガイドラインを盾にすることで、重複投与を防止しやすくなるはずです。

もし、高齢の患者さんが疑義照会を断った場合でも「このガイドラインがあり、国として進めていることであるため、遵守しないといけないのです。

処方元の医師はこのガイドラインはご存知であり、心配する必要はありません。」などのように伝えれば、納得してくれるはすです。

現在医療財政が逼迫していることを考えると、まずは少しの削減かもしれないが、削減する必要は絶対にあるのだカモ。

その流れをどのように全国に広げ、加速させるのかが重要だと思うだカモ。小さな流れを継続することは、必ず大きな流れを生むだのカモ。

「高齢者医薬品適正使用検討会」のガイドラインで、仕事をスムーズにすすめましょう。

これまで、疑義照会が億劫だった、疑義照会しにくい病院や医師がいるなどで、業務に支障をきたしていたケースもあると思います。

しかし、このガイドラインが公表されればこれを盾に疑義照会を積極に行い、患者さんの重複投与(多剤服用)を防止できるのではないでしょうか。

薬剤師が活躍できる機会がさらに増えることにつながると思います。