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患者さんの残薬問題で私たち薬剤師が取れる対策とは

患者さんの自宅に大量に眠る残薬。薬剤師がすぐに取れる残薬対策について解説

みなさんの薬局では、患者さんが飲み残したお薬はどのような取り扱いをしているでしょうか。

服薬意識の高い患者さんは、予約日のずれなどで残ってしまった場合でも律義に持参して、医師に調節依頼をかけた上で処方せんを持参してくれる場合があります。

しかし薬の管理がずさんな患者さんだと、気付いたら何百錠、何千錠と自宅に眠っている場合もあります。筆者が在宅訪問をしてから気付いたケースでは、患者さん宅で数千錠という量の薬を見たことがあります。

高齢化に伴う医療費高騰で、患者さん宅に残っている残薬の管理について注目が集まっています。

薬剤師が残っているお薬の管理までしっかり行う必要があります。これは医療費の面だけではなく、適正な服薬管理にもつながります。

私たち薬剤師は患者さんが飲み残した薬をどのように把握し、管理したら良いのでしょうか。対策についていくつかご紹介します。

窓口での対策

慢性疾患の患者さんの場合、予約の日程、長期旅行時持ち忘れなど(本来あってはならないことですが)で残薬が生じるケースがあります。

慢性疾患の場合は数か月に一度は来局してくれることが多いので、毎回残薬の確認をすべきです。

企業により薬歴のフォーマットに残薬確認の記録を残せるところも増えてきていますので、従業員に周知して、その項目の使用を促していくのも良いと思います。

頓服や急性症状の患者さんの場合でも、以前服用している場合は手持ちにあるのかなど確認します。急性症状の場合の残薬はほとんど問題にならないことが多いですが、問題は睡眠薬などです。

睡眠薬などを飲み残していても、わざと医師に伝えず隠し持っている患者さんが多くいます。現在多くの一般的な睡眠薬は30日分の投与制限がかかっていますので、一気に処方してもらえないことを不満に思う方が少なからずいます。

手元に置いておきたいからと残薬を集め、莫大な量を隠し持つパターンもあります。眠れないからと言って何錠も服薬してしまうこともあるので、薬物の適正使用の面からも睡眠薬の管理はしっかり行っておきたいです。

残薬があることを医師に言わないということは、薬剤師にも内緒にすることが多いカモ。

危険と思った患者さんには在宅の契約を勧めた方がいいのカモ。

在宅での対策

残薬管理がいちばん適正にできるのは在宅訪問です。
お薬をひとまとめで渡すのではなく、お薬カレンダーにセットしたり、ウィークリーのピルケースにまとめて患者さん自身での管理を容易にしてあげるのです。

医師から30日分の処方があっても、1週間に一度、1週分の薬を持って訪問します。患者さんの自立度によって訪問頻度も変わります。

それにより、視覚的に飲み忘れを防ぐとともに、多量服用も防ぐことが出来ます。

前述の睡眠薬を隠しているパターンでは、薬剤師の目につかないところに隠していたりするケースも見受けられますので、ヘルパーやケアマネージャーと協力して薬剤管理を行う必要があります。

在宅訪問で得た情報は、報告書などで適宜医師にフィードバックします。例えば朝の薬を飲み忘れる傾向にあり、何日分残薬ありと薬剤師から伝えることができれば、次回以降の薬の調節も容易です。

在宅は色々な発見があるカモ。残薬という目線だけでなく、色々患者さんのお家から得られる情報があるカモ。

ツールを使用する

企業によっては、様々な残薬対策を行っているところもあります。筆者が使用したことがあるのは、「残薬バッグ」というツールです。

一見ただのトートバッグですが、袋に大きく「お薬おかえりなさい袋」と書いてあります。ここに残薬をすべて入れ、医師や薬剤師に渡します。

いちいち何錠あるか数えるのが億劫で、残薬がどのくらいあるのかわからない患者さんには喜ばれる道具でした。黒っぽい見た目で中身の薬がどんなものかはわからないので、手で持ってもプライバシーに配慮されたすぐれものでした。

他にもお薬手帳に残薬数を記入できる欄があったり、写メでもいいのでどのくらいあるか目視させてください!

なんていう手段も見たことあるカモ。患者さんの手間にならなければ協力してくれることが多いカモ。

まとめ

以上が残薬対策について、筆者の実体験を交えた解説でした。

残薬は経済的に損失であると同時に、正しい服薬にも妨げをもたらします。たとえば高血圧や糖尿病の患者さんが毎日の薬を飲めていないとなると大きな問題です。

残薬があるかないかでその患者さんの服薬意識も理解ができます。

残薬の有無で患者さんが困っていることを引き出すことが出来ます。たとえば営業職で外食が多く、夕飯後のお薬はお客さんの前で飲みにくいなどの場合、夕食後の薬を可能な限り別の時間帯にずらす依頼を医師にすることができます。

それだけの違いでも患者さんのコンプライアンスは大きく変わってくると思います。

これらのメリットがあるため、残薬の把握は医療業界で今後さらに重要な意味合いを持つと考えますので、窓口や在宅で患者さんとお話しする際は、ぜひ残薬について話題に出してみましょう。