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ICH(日米EU医薬品規制調和国際会議)ガイドライン概説

ICHの品質、安全性、有効性、複合領域についての概説

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ICHのガイドラインは品質(Quality)、安全性(Safety)、有効性(Efficacy)、複合領域(Multidisciplinary)の4種類に分類されています。

ICHのガイドラインにはどんな種類があるのカモ

それぞれ、できた順番にQ1などの番号をつけてよんでいます。また、古くなって再検討されたガイドラインについては(R+改定回数)がついています。

品質

品質とは薬物の安定性や原薬の不純物や医薬品残留溶媒等の試験法方法ガイドラインになっています。

日本、アメリカ、EUにはそれぞれ薬局方という新薬ではないが必要でない医薬品についての規格等を定めたものがありましたが、Q6A医薬品の規格及び試験方法法(化学物質/3局方との調和の継続)というガイドラインで調和が行われています。

さらによく似たガイドラインで1つにまとめるのが難しい場合には数字の後にA、B、Cをつけて分けています。

具体的に言ってもらわないとわかりにくいカモ

例えば安定性の試験法にはQ1A:安定性試験法(新有効成分含有医薬品)、Q2A:安定性試験法(光安定性)、Q1C安定性試験法(新剤形及び一部変更)、Q1D:安定性試験法(ブランケッティング&マトリキシリング)、Q1E:安定性試験法(安定性データの評価)といった方たちです。

ブランケッティング&マトリキシリングなんて聞いたことないカモ

薬学部の人は知っていると思いますが一応説明しておくと、薬剤の安定性について全数調査の代わりに減数調査の方法です。

ブランケッティング法の定義をQ1Dから引用しておくと

ブラケッティング法は、全数試験と同様に全測定時点において、例えば、含量、容器サイズないし容れ目等の試験要因について両極端の検体についてのみ測定する安定性試験の手法である。

この手法は、中間的な水準にある検体の安定性は試験された両極端の安定性により示されるとの仮定に基づいている。
引用元:原薬及び製剤の安定性試験へのブラケッティング法及びマトリキシング法の適用について

マトリキシリングも同じように引用しておきます。

マトリキシング法はある特定の測定時点で全ての要因の組み合わせの全検体のうち選択された部分集合を測定する安定性試験の手法である。

連続する2つの測定時点では、全ての要因の組み合わせのうちの異なる部分集合を測定する。この手法は、ある測定時点における全検体の安定性は各部分集合の安定性により代表されているという仮定に基づいている。
引用元:安定性試験ガイドラインの改定について

安全性

安全性のガイドラインは非臨床試験(試験管内で細胞に対する毒性や動物に投与して毒性をみる試験)のガイドラインを指します。これは各国であまり差がなかったので比較的早くに合意され、数も少なくないっています。

しかし、どこの国でも問題になっているのが小児用医薬品開発です。大抵は大人用の薬剤を少量から与える臨床試験を行って小児用の適用をとる方法がとられています。しかし、これはある意味小児特有の毒性を検討せずに臨床試験を行っているのと同じことなので、「小児用医薬品開発の非臨床試験」のガイドラインが検討されています。

まだ話題には上がっていませんがiPS細胞を用いた局部毒性の検討が始まる可能性があります。マウスの実験はある種の系統で行われています。言い換えると、ほとんど同じ遺伝子を持った兄弟で毒性試験を行っていると言うことです。

少数の副作用がある種の遺伝子異常による場合にはその毒性を発見できない可能性があります。iPS細胞の場合には、病気の人由来とか、健康な人由来とか将来は細胞バンクができれば、非臨床試験の段階で毒性が判明する可能性があります。

有効性

有効性とは単なる効果を証明するためのガイドラインではなく、治験のやり方と市販後の副作用の監視方法が記載されています。

E3:治験の総括報告書の構成と内

この中で一番先に合意されたのは「E3:治験の総括報告書の構成と内容」でした。これが検討され始めたときに日本の製薬会社ではちょっとした騒ぎが起こりました。このガイドラインを守るためには、治験計画書の段階から治験総括報告書を意識して実施する必要があったためです。

アメリカがなかなか認めなかったのが「E5(R1):外国臨床データ受け入れの歳に考慮すべき人種・民族的要因」と「E10:臨床試験における対照群選定」です。

E5(R1):外国臨床データ受け入れの歳に考慮すべき人種・民族的

E5(R1)に関してはアメリカでは人種や民族的要因を検討する必要がないからです。結局は背景因子として人種を検討する必要があるというところで落ち着いています。しかし、日本ではほとんどがアジア系の人間であることから、E5を受け入れる代わりに、市販後臨床試験で「日本人の症例数が少ないことから全数調査行うこと」という承認条件がつくことが多くなっています。

E10:臨床試験における対照群選定

E10に関してアメリカはプラセボを主張し、日本とEUは実薬を主張しました。アメリカの意見は薬剤としての効果はプラセボとの比較でしかわからないという正論です。しかし、全くの新薬ではそれ以外にはありません。

既に標準治療が決まっている分野においてはプラセボ群に当たる人には問題があるのではないかという一面もあります。原則としてプラセボとの比較試験と標準治療の比較試験をその薬剤の特性を考えて実施することとなりました。

プラセボとの比較試験を十分な症例数で行えば優秀な薬であれば、きちっとした結果がでると考えがちですが、決してそんなことはありません。

特に抗うつ剤や、統合失調症の場合にはプラセボ効果が高く、また実薬の場合にはプラセボ効果にその薬の効果が上乗せされることが生じるので治験薬が有意差を持って勝てない場合があります。そのようなケースでは同じプロトコールで2つの試験を行うことが定め得られています。

E6:医薬品の臨床試験の実施の基準がいわゆるGCP(Good Clinical Practice

E6:医薬品の臨床試験の実施の基準がいわゆるGCP(Good Clinical Practice)です。最近の話題としては、治験の適格条件に合わない又は除外基準に一致する患者において、責任病院の許可があれば治験薬の投与を受けることができるということです。

ただし、治験の様に他の検査費用が無料で交通費がでるわけでなく、治験薬の代金も請求される可能性があります。製薬会社としては見かけの副作用を減らしたいことから、適格条件、除外条件を設けています。

このため、データとしては安全性のみ採用することになっています。今までの副作用による薬剤の回収事件は、市販になった途端に条件外の人が使い副作用がでて結局回収となっていることを考えると、リスク回避のために製薬会社は積極的に利用する価値があると思うのですが。

やっぱりキレイなデータで製薬会社は申請したいのカモ

複合領域

M1のICH国際医薬品用語集はMedDRAとよばれ古くから用いられていましたが1999年にICHでステップ5になりました。

ここで問題となるのが日本語と英語で概念が異なるものです。めまいは英語では中枢性のものと、三半規管によるものは違う言葉を使いますが日本語ではどちらも同じです。このあたりは副作用の報告書の回収時に確認する必要があります。

また承認にために出す報告書もガイドラインができており、その電子化についてもガイドラインができていますが、肝心の判断に対する「CTDにおけるベネフィット・リスク情報」の改訂が専門部会で検討中です。