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後発性医薬品は本当に先発医薬品と同じように効果があるならなぜあまり広がらないのか?

後発性医薬品の使用頻度を厚生労働省は経済的な側面から上げようとしています。後発性医薬品はどのようにして先発医薬品と効果を保証しているのか

経口製剤を例に後発性医薬品の有効性がどのように保障されているかをみていきましょう。それは厚生労働省が発行している「後発性医薬品の生物学的同等性試験ガイドライン」によって保障されています。

最近は後発性医薬品を使うことを厚生労働省が勧めているけどどうして日本では外国ほど後発性医薬品が多くないカモ

後発性医薬品の生物学的同等性ガイドライン

具体的に後発性医薬品の生物学的同等性ガイドラインをみていきましょう。まず、後発性医薬品には先発医薬品と同じ量の有効成分が入っている必要があります。

先発の医薬品と後発性医薬品の違いは添加物の違いです。添加物というのは有効成分の量が少ない場合には飲める大きさに増やすものです。賦形剤とも言います。添加物には賦形剤の外に有効成分に苦味があってとてもそのままでは飲めないときに、添加物の力で飲めるようにする場合があります。

溶解試験

添加物の種類によっては、体内でうまく溶けない場合があります。それを確認するために行うのが溶解試験です。一定の溶解用の液体に先発の医薬品と後発性医薬品をいれて溶解する時間を計ります。これを溶解試験と呼びます。

溶解液に溶ける時間が同じであれば原則として生物学的には同等になります。ただし、後発性試験製剤は実生産ロットが望ましいとされています。その理由は、添加物と有効成分の混ざり具合は生産量が多くなるほど、差がでてしまうからです。しかし、あまりその差は大きくないので、実生産ロットの1/10でも認められています。

先発用医薬品でもどの製品でも含量は実は一定ではありません。記載されている含量の5%程度の誤差は許されています。それを規格と呼びます。

溶解試験がなかった頃には、薬を飲んでも有効成分が血中に入らないという事件がありました。有効成分と添加物を合わせて製剤と呼ぶのですが、有効成分の特許が切れても、製剤成分がまだ持続していることはよくある事です。

なぜ特許期間に差が出るカモ

特許期間に差が出る理由

製剤研究というのは実は難しい研究なのです。健康な人に用いる第Ⅰ相試験ではまだ、最終的に販売する製剤ができている場合は少なく、早い場合でも病人で用量を決める第Ⅱ相試験で決められることが多くなっています。

この場合にも生物学的同等性試験が必要となります。承認されている薬剤で公開されている審査報告書をみると、生物学的同等性試験が1度では成功せずに、2度繰り返している場合には審査報告書にしっかり記載されています。販売に耐えうる製剤ができてから製剤の特許は有効成分の特許より長くなります。

クロスオーバー法

次に行うのは人を用いた生物学的同等性試験を行います。実験計画にはクロスオーバー法で行います。クロスオーバー法とは一人のボランティアに先発性医薬品と後発性医薬品を飲めんでもらって、血中濃度を比較する方法です。

普通の臨床試験のように二重盲検無作為比較平行群間試験をおこないのカモ

本当はクロスオーバーの方が優れているのです。二重盲検無作為比較平衡試験では人による個人差がデータの誤差として存在します。しかし、クロスオーバー法では同一人物で異なる薬剤を飲むことからその個人差がデータとして計算することができます。クロスオーバー方の欠点は、消失半減期が長い場合には用いることができないことです。

二重盲検無作為比較平行群間試験

二重盲検無作為比較平行群間試験では先発医薬品と後発性薬品で数十人の人にのませて血中濃度を計ることが必要ですが、多数の人で試験を行う場合には、血中濃度だけでなく効果の有無をみた方が臨床的には意味があります。

同等性を判定するためには、十分な例数が必要ですが、人間を用いる試験ですので、誤差がでます。そのため、同等と判定できない場合があります。その救済処置として例数追加試験が認められています。追加試験では本試験の半分の例を追加することができます。統計的な問題として、試験というファクターが一つ追加されることになります。

実際には、測定前に1回、最高濃度に達するまでに1回、最高濃度付近で2点、最高濃度から、消えていく段階の3点、計7点以上の血液あるいは尿を測定します。また、最終的な測定点は最高血中濃度時点から3倍以上にわたる時間指定します。

その後、消失半減期の5倍以上の休薬期間を置いたのちに次の薬を飲みます。後発性医薬品か先発医薬品のどちらを先に飲むかを選択するかは無作為に行います。

同等性の評価法

同等性の評価法は血中濃度を点で結んでその下の面積を計算するAUCと血中濃度の最高値(Cmax)を比較します。

生物学的同等の許容域はAUC及びCmaxが対数正規分布する場合には、母平均の平均が0.85~1.25となります。対数でない場合には平均値の差はプラスマイナス0.2です。統計学的解析では95%信頼区間を求めます。先発性医薬品と後発性医薬品の差の90%信頼区間がlog(0.80)~log(1.25)になると同等性があると証明できたことになります。

ちょっとややこしい表現ですが、単純に平均値だけで比べると先発医薬品が5と5で後発性医薬品が0と10ではどちらも平均値は5となります。どちらも同じ平均血中濃度を示しているとしても後発性医薬品についてはバラツキが大きいことからとても使うことはできないことになります。

同等性医薬品試験の時に注意する点

一つは食事を揃えることです。もう一つ前もって胃液濃度を測定しておき、胃液濃度が低い人を避けることが重要となります。

同等性が必要ない後発性医薬品

後発性医薬品の中には有効成分が先発性医薬品と同じだけでなく、添加物に関しても同じ後発性医薬品があります。米国ではこのような後発性医薬品は外の医薬品よりも6か月先に販売することができます。

日本ではオーソライズドジェネリックと呼ばれます。しかしながら米国のような利点はありません。しかし、お医者さんや患者の不安を解消する一助にはなります。

後発性医薬品に望まれること

後発性医薬品に関しては副作用に対する収集力が弱いことが問題と思われます。日本には副作用被害救済制度というものがあります。これは普通の使い方をしているのにもかかわらず副作用がでた場合には国が副作用に対する治療代や仕事を休んだ場合には休業手当を補償する制度です。

長年使われた薬剤に関しても副作用がでる場合、特に副作用被害救済制度に対応する場合が多くなります。この場合、先発メーカーの場合にはお医者さんに書類を書くことを勧めたり、厚生労働省に報告したりしてくれますが、後発性医薬品の場合にはこの能力が低いと思われます。それはMRの数をみても分かります。

厚生労働省が後発性医薬品を推進する場合は、後発性医薬品の製造開発会社で協力して副作用情報収集専用の会社共同のMRを置くなど経済的以外の方法も検討する必要があると思われます。