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抗がん剤オプジーボの医療費はどうなるのか?さらなる適応拡大へ

今最も注目を集めている医薬品の1つがオブジーボです。これまでの抗がん剤より効果のある薬ですが、その反面、その医療費は莫大なものです。

近年になり医薬品開発は非常に盛んに行われています。医薬品開発自体はこれまでも行われていましたが、製薬会社各社は開発競争を行っており、如何にして早く新薬を世に出すかを競っています。

この流れを加速させて一因として、バイオベンチャーと呼ばれる会社があります。

製薬会社の新薬開発は、従来は製薬会社に所属する研究者によって、候補物質(Seed:種)が探し出されます。

そのあと、数多くの基礎研究や非臨床試験(動物など)を経て、効果があると認められたものが、臨床試験のステージに移ります。

臨床試験のステージに移行できる数ですが、候補物質100個に対して、2個か3個しかないと言われています。したがって、莫大な研究費用と時間がかかってしまいます。

これを解決したものがバイオベンチャーです。

バイベンチャーは基本的に臨床試験の前段階まで研究を進めて、その段階で製薬会社にその候補物質を売却するか、会社ごと売却します。この流れが全世界的に進んでいるため、開発競争が非常に盛んになっております。

バイオベンチャーはアメリカを中心として多く設立されています。したがって、基本的に日本以外の海外が主導する形で開発が進められています。

しかし、オプジーボはこのような流れとは少しことなりますので、そのことをご紹介します。

さらに、オプジーボの大きな問題はその医療が非常に高額となることが、大きな問題となっていますので、一緒に考えてみましょう。

オプジーボをご存知でしょうか。その作用機序とは?

オプジーボは日本に本社を構える小野薬品工業が開発した抗PD-1抗体と呼ばれる抗がん剤です。

抗がん剤には、殺細胞性のもの、分子標的薬(EGFR阻害剤、ALK阻害剤など)などを中心として多くのものがありますが、オプジーボは抗体医薬品で免疫療法と呼ばれるものです。

人間の体内では、がん細胞は常に作られています。しかし、免疫細胞の働きによって消滅させられるため、通常はがん細胞が広がり、いわゆる「がん」になることはありません。

しかし、何かをきっかけにして、例えば免疫作用が低下した場合、免疫細胞の働きが低下し、がん細胞が増殖し、がんとなります。

がん細胞は非常に賢い細胞で、狡猾ともいえます。

免疫細胞上には、PL-1やPD-L1という受容体がありますが、がん細胞がそれらの受容体に結合すると、免疫細胞の作用(攻撃能力)を失わせることができます。

つまり、免疫細胞が働かないため、がん細胞が増殖しやすくなるためです。このメカニズムを解明し、PD-1抗体の開発に貢献した人が、京都大学の本庶佑先生です。

PD-1抗体であるオプジーボは、免疫細胞に存在するPD-1抗体に、腫瘍細胞よりも先に結合することで、腫瘍細胞が免疫細胞に結合するのを防ぎ、免疫細胞がもつ免疫機能を維持させます。

医薬品開発はアメリカなどの海外が中心ということを冒頭でご紹介しましたが、オプジーボについては、日本発の医薬品です、さらにその効果も従来の抗がん剤と比べると、有意に高いことから非常に注目を集めている医薬品となりました。

オプジーボ以外にも抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体は4つほど存在しており、各製薬会社がしのぎを削っているのだカモ。

現在の最新のがん治療は抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体を中心に進んでいるといって良いほど、大きな注目を集めているのだカモ。

オプジーボにかかる医療費とは?

2017年9月現在、オプジーボが日本で持つ適応症は、悪性黒色腫(メラノーマ)と非小細胞肺がんです。胃がんについては、現在厚生労働省で審議中であり、その他の固形がん、血液がんなどを対象として、臨床試験が実施されています。

オプジーボの薬価は、20mg/2mlで75,100円です。
1回の使用量は、体重1kgあたり3mgです。日本人の平均体重は60kg程度です。
よって、60kg×3mg/kg=180mg/1回となり、薬価は180mg/20mg×75,100円=675,900円です。2週間に1回の投与であるため、月の医療費は1,351,800円です。

1年間使用を継続した場合は、1年間は52週間と計算されますので、675,000円×52週/2週=17,550,000円となります。
患者さんが負担する金額としては、健康保健や高額療養費制度などを利用できるため、払うことができない莫大な金額ではないです。しかし、その差額は国が負担することになります。
つまり、オプジーボが使用されれば使用されるほど、国の医療費財政を圧迫してしまいます。

実際それが問題となり2017年2月1日に薬価が50%引き下げられました。引き下げられた後の薬価が20mg/2mlで75,100円なのです。

薬価引き下げ前は、単純に2倍の医療費となり、どれだけ医療費財政を圧迫しているのかがわかるかと思います。

オプジーボは必要なのでしょうか。

オプジーボはこれほどまで高額な医薬品ですが、それでも非常に多く使用されています。それはなぜなのかをご紹介いたします。

抗がん剤を評価する1つの指標としてOS(Overall survival:全生存期間)というものがあります。抗がん剤の投与を開始してから、どれくらい生存していたか、つまり死亡するまでの期間がどれくらいであったのかをみるものです。

非小細胞がんの臨床試験でのデータです。切除不能なⅢB期/Ⅳ期又は再発の非小細胞肺癌患者に対する標準療法は、ドセタキセルです。

ドセタキセルとオプジーボのOSを比較したところ、ドセタキセル群で6.01ヶ月(5.13~7.33)に対して、オプジーボ群では9.23ヶ月(7.33~13.27)でした。

※ニボルマブの添付文書

わずか3ヶ月の延長に見えますが、ハザード比やp値を踏まえてみますと、十分な有意差があると統計学的に認められます。

がん患者さんやその家族にとって、3ヶ月という期間は決して短いものではなく、最後の重要な期間となります。
したがって、オプジーボはがん患者さんにとって必要な医薬品となっています。

オプジーボが優れている点は、悪性黒色腫や非小細胞肺がんにおいて、既存の標準治療よりも有意にOSやPFS(無増悪期間)を延長していることなのだカモ。

現在実施されているほかのがん種でも同様の傾向があるようだカモ。したがって、オプジーボは非常に多くのがんに対して使用されることは間違いないのだカモ。

何かを抜本的に変えないと、日本の財政は間違いなく破綻します。

オプジーボ以外にも、PD-1抗体、PD-L1抗体と呼ばれる医薬品があり、現在臨床試験が実施されています。したがって、今後もこのような医薬品が市場に出回ることになります。

がん以外でも抗体医薬品の開発が積極的に進められております。

抗体医薬品は、その効果が非常に優れているというメリットがありますが、薬価が非常に高いというデメリットがあります。

したがって、むやみやたらに使用することを避けないと、日本の医療財政は間違いなく破綻すると思います。何かを抜本的に変える必要があると思います。

今の国民皆保険制度を続けていくのであれば、処方の方法、医療制度、薬価減少などがあると思います。
一方アメリカなどのように、医療も生命保険でまかなうとう方法もあると思います。

いずれにしても、日本に医療は大きな岐路に立たされていることは間違いないと思います。