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ターミナルケアに携わる仕事がしたい!業務内容や勤務場所、メリット・デメリットをご紹介します

どこでどんな業務をするの?向かない性格とは?

ターミナルケアとは、回復の見込みがなく、余命数週間から半年の終末期の患者さんに対する”延命治療をしないケア”のことを言います。看護の分野では、「終末期看護」「緩和ケア」などと同様の意味で使われることもあります。

現在、超高齢社会に突入している日本では、延命治療の是非やターミナルケアの重要性が討論され続けています。この話題が気になっていたり、ターミナルケアに興味をお持ちの看護師さんも多いのではないでしょうか?今回はターミナルケアをテーマに、基本的なことから転職についてまで、まとめていきます。

ターミナルケアの4つの柱

ターミナルケアでは”回復の見込みがない終末期の患者さん”が対象になります。そして”延命治療をしない”わけですから、苦痛を緩和や精神面の援助が重点になってきます。この項目では、ターミナルケアの柱となる4つのケアについて説明します。

※ターミナルケアを受けている方の多くは”がん患者さん”であるため、がんに特化している部分が含まれます。

身体的苦痛の緩和

痛み・倦怠感・呼吸困難・食欲不振・排泄障害・褥瘡など、身体的苦痛を緩和させるためのケアを行います。具体的には薬剤の投与・管理、体位変換やマッサージ、創傷処置、各種の対症療法などが挙げられます。

特にがんの場合、がんの転移場所によって身体的苦痛が増えます(例えば肺転移による呼吸困難、脳転移によるせん妄など)。身体的苦痛の緩和は、次の精神的苦痛の緩和にもつながります。

精神的苦痛の緩和

身体的苦痛による強いストレスや死への恐怖、残していく人々への思いなどから、精神症状が出ますのでこれを緩和できるよう努めます。終末期のがん患者の1~2割は、強度の鬱状態にあるというデータもあります。

耐えがたい苦痛から「寿命が来る前にいっそ自殺したい」と思う患者さんも少なくないようです。看護師には安全への対策も求められます。また、症状に応じて薬剤投与、専門家によるカウンセリング、代替療法(アロマテラピーや音楽療法など)を取り入れることもあります。

社会的苦痛の緩和

社会的苦痛とは、これまで自分にあった社会的役割を果たせないことから生じる苦痛です。例えば、「家族の一員としての役割が果たせない(一家の大黒柱・家事の中心など)」「これまで家計を支えてきたのは自分なのに、今では治療費などで経済的に負担をかけている」「看護や介護をしてくれる家族や人様に迷惑をかけている」などと思うことが多いようです。

このような苦しみに対して看護師が直接できることは少ないですが、患者さんやご家族と話をし、それぞれが素直に気持ちを伝えられるように援助します。

スピリチュアルケア

終末期にある患者さんは、自分自身や人生などについて自問自答したり、葛藤したりします。当然、答えを出すことは難しい内容なのですが、患者さんの話を傾聴し、思いを表出してもらえるよう関わります。

患者さんご本人へのケアは以上の4点ですが、ターミナルケアではご家族への援助も重要です。ここまででも何度か”家族”というキーワードが出てきていますね。

ご家族が患者さんが死期にあることを受け入れ、患者さんが亡くなった後にも後悔することがないよう、残された時間を大切にできるようにサポートします。

ターミナルケアに携わる看護師のやりがいとは?

難しい仕事ですが、やりがいも大きいようです。一番は、患者さんやご家族に寄り添った看護ができることではないでしょうか?ターミナルケアでは、一人の患者さんとそのご家族と、長期に渡って密接にかかわっていくことになります。”患者さんの最期の時間に携わる”こんな仕事は他にはありません。

また、他の医療スタッフと連携し、専門チームを形成し、患者さんが穏やかに最期を迎えられるよう最善を尽くすことにもやりがいを感じるようです。

ターミナルケアは非常に奥深い分野で、学ぶことが多いです。自分の専門にして、極めるのも良いでしょう。緩和ケア認定看護師、がん性疼痛看護認定看護師の資格取得を目指すこともできます。

そしてターミナルケア施設で働いて学んだことは、将来的に他の部署へ異動したり、医療施設に転職するときにも、自分の家族がターミナルケアを必要とするときにも役に立つはずです。

こんなタイプはターミナルケアに向かないかも?

やりがいが大きいターミナルケアですが、携わった看護師が”燃え尽き症候群”に陥ることがよくあるそうです。

患者さんの死に何度も立ち合ったり、患者さんやご家族の気持ちに寄り添い共感するため、自分も落ち込んだり、「もっと患者さんやご家族ために何か出来たんじゃないか」「あの時こうしていれば…」と悔やんだり。”人の死”という重いテーマを抱えている以上、看護師に精神的な負担がかかってしまうことは致し方ないとも言えます。

落ち込んだり考えすぎたりする、共感性が強すぎてストレスを抱えてしまう、切り替えが苦手なタイプの方には向いていない可能性があります。当てはまる方は、就職先を探す前によく考慮してください。

ターミナルケアに関わる看護の職場は?

専門的にターミナルケアを実施している看護師の職場を挙げていきます。

完全独立型施設

ターミナルケアだけを専門的に行う施設です。※ホスピスという言葉には「ターミナルケアを行う施設」という広い意味があるため、完全独立型の施設だけでなく、緩和ケア病棟などを含みます。ここでは完全独立型の施設について説明しています。

日本でホスピスケアが始まったのが1973年、初めて緩和ケア病棟が開設されたのが1981年、独立したホスピス施設が完成したのは1993年です。歴史が浅いため、まだ完全独立型施設は少ないそうです。

病院内の専門病棟・専門施設

いわゆる「緩和ケア病棟」です。数ある病棟のひとつである場合もあれば、病院の敷地内に独立した建物を持っている場合もあります。

病院内の緩和ケアチーム

専門病棟や施設を持たず、医療チームが各病棟を巡回して専門的なケアをします。

在宅ケア

具体的には往診や訪問看護などです。

ターミナルケアに携わる仕事がしたい!

日本はターミナルケアの歴史が浅く、専門施設はまだまだ少ない状況です。今後施設が増加していくことは考えられますが現時点では求人が少ないので、転職希望の方は常にアンテナを張っておきましょう。

就職候補先を見つけたら、ターミナルケアに専従できるのかどうか確認しておく必要があります。その理由は、一般病棟の中に緩和ケア病棟が組み込まれているような施設では、一般の患者さんの看護も業務に入ってくることがあるからです。

いかがでしたか?今後ますます需要が高まってくるであろうターミナルケア。やりがいが大きい仕事ですが、転職を決める前に業務内容や自分の性格を分析しておきましょう!

[box_h]著者:看護師ユミ
看護師として数年勤務後、結婚を機に引退。転職経験も数回あります。現在は海外を拠点に生活しています。[/box_h]