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深刻さを増す介護の人材不足!現場で何が起きている?

人材不足と言われる介護業界の現場の声をお届けします

人材不足

介護の人材不足はどんな状況なのか

現状

「介護人材の不足」という報道を見聞きします。実際にはどれくらいの人材が足りていないのでしょうか。厚生労働省では毎月、ハローワークの求人状況をまとめて公開しています。それによると、平成29年8月の有効求人倍率は1.52倍で前月7月と同じ水準でした。

ですが、「社会福祉の専門的職業」に限ってみると2.64倍と大幅に上昇。さらに、ひとりの人が職を求めた時、どれくらい求人数があるのかを示す「新規の求人倍率」においては4.07倍と高い数字を示しています。職業全体での新規の求人倍率が2.11倍であることからみても、その数字の高さは一目瞭然です。

※参照:一般職業紹介状況(平成29年8月分)について

「入職率と離職率」から介護業界を見てみましょう。平成28年、「医療、福祉」分野での入職率は15.8%。離職率は14.8%。入職者と離職者の割合に1%しか違いがありません。介護の仕事を始める人と同じくらい、退職者が多いことがわかります。これでは人材不足は解消されていきません。

※参照:平成28年雇用動向調査結果の概要

※参照:産業別の入職と離職

介護現場で働いていると、求人を出しても応募そのものが少なく、採用に結びつかないという声をよく耳にします。そんな人材不足は介護事業者の経営をじわじわと追い詰めています。介護事業者から見た人材不足を考えてみましょう。

人材不足が与える介護現場への影響とは

影響

人材不足が続くとどんな問題が生まれるのでしょうか。介護事業者にとり人材不足は事業の継続そのものが困難になることを意味します。介護事業は法律で必要とされる人数が規定されています。

品物ならば足りない分を増産や、購入することも可能ですが、人はそう簡単に増やすことができません。人材が足りないことで、こんな問題が生じてしまっています。

募集しても人が集まらないため、良い人材の確保が困難に・・・

人材不足を補うため、「介護に向いていないのでは?」と思われる者でも雇用せざる得ない状況にあります。結果として介護の質そのものの低下が心配されています。

介護事業者の収入が増えない・・・

介護保険で一定の要件を満たすは事業者は、介護報酬の加算が認められ収入を増やすことができます。一例として訪問介護で「夜間早朝」や「深夜」に身体介護を行うとそれぞれ25%、50%報酬が加算されます。

※参照:介護給付費単位数等サービスコード表

この加算を受けるためには一定数の有資格者が働いている、サービス記録を適切に残している等の要件をクリアする必要があります。

ですが、人材不足ではこうした要件が満たせず、収入は伸びません。収入悪化は介護スタッフの給与や昇給にはマイナス。退職者が増え事業がさらに伸び悩むという悪循環に陥ってしまう可能性も・・・

※参照算定要件の自己点検について(介護保険)

職場環境が悪化

事業者の経営が苦しくなると、ケア向上のための研修実施や、スタッフの福利厚生を充実させる余裕がなくなってしまうことに。

職業としての魅力が低下してしまいます。そこから職員のやる気を引き出すことは難しくなり、ケアの質も高まりません。ケアの質の低下はご利用者の生活の質の悪化となり、不満を持ったご利用者は他事業者への流れてしまいます。

介護事業者はこうした苦しい状況を打開しようと策を講じています。その中でも「外国人の登用」について考えていきましょう。

人材不足は外国人介護士が補う?

介護事業者は、人手不足解消のため「外国人介護士」への関心を高めています。平成29年、国際厚生事業団の調べによると、外国人介護士は全体では3500名ほど。そのうちフィリピンの方が一番多く働いています。

インドネシア、フィリピン、ベトナムからの受入者数をみると平成29年度は700名を超える見込みとなっています。受け入れを始めた平成20年は104名であったことから、外国人介護士を求める声の大きさが窺えます。受け入れ先の日本人介護スタッフ、ご利用者からの評価も高くなっています。

今後も外国人介護士の方は増えていくことが予想されますが、どんな課題があるのでしょうか。一番の問題は言葉の壁。日本語を覚え、その日本語で介護の専門知識も学ぶ必要に迫られます。しかし、働きながらでは勉強時間が限られ、思うように学習できない状況に置かれています。

また外国人介護士の配偶者や家族を日本に呼ぶことが可能ですが、配偶者の就労時間に制限が設けられています。それが外国人介護士の定着を阻み、せっかく介護福祉士に合格したのに帰国してしまう方も・・・

※参照:外国人介護士の現状

帰国される方がいる一方、ケアマネジャーや看護師の取得を希望をする外国人介護士の方も多くいます。外国人介護士であろうと、キャリアップや転職でより良い職場環境を求めるのは自然な流れといえるでしょう。こうした状況が生まれるほど介護の人材不足は深刻。現場で働く介護士カモからはこの現状はどう映るのでしょうか。

介護士カモは考える・・・「良い人材」とは?

良い人材

介護の現場にいると、「良い人が来ない」と言う声をよく耳にします。

この台詞は経営者側、介護スタッフ側のどちらからも聞こえてくるのです。経営者側にとっての「良い人材」とは、「安い給与でも文句を言わず、休まず働く人」だと思いがち。その面は否定できないかも・・・。ですが、実際に経営者側と話してみるとちょっと違うようです・・・。

経営者側が人材に求めているのはご利用者のケアを大事に行い、他の介護スタッフと連携して仕事を行えること。「質の高いサービス」というハイレベルな商品をお客様である利用者に提供できるかどうかは経営にとって死活問題なのです。

この経営者が挙げた「良い人材の条件」は、介護スタッフが「一緒に働きたい人」のイメージとあまり変わらないことに気がつくカモ。

経営者側は介護報酬という収入を得るため、多くの「企業努力」を重ねています。例えばより重度のご利用者との利用契約を増やす、ペーパータオル、文房具など備品代などのコストを下げるなど・・。それでも肝心の介護スタッフは「仕事の割に給与が安い」「有給休暇がとりにくい」「身体的負担が大きい」などの理由で離職していってしまうのです。

介護スタッフが職を離れていく理由の多くに共感できます。ですが「もっと勉強が必要なのでは?」と感じることも・・・。介護技術、医療など学ぶことはたくさんあります。そうした知識、技術を得ることは業務をより効率的に進めることにつながります。効率的な業務は事故予防や、ご利用者とより良い関係を築くことに力を発揮してくれるでしょう。人がいない、集まらないといくら騒いでも、急に「即戦力」の人も「良い人材」も増えません。

確かに職場環境は厳しいのですが、やれることはまだたくさんあるのでは?「人がいない」と嘆いて何もできずにいるのなら、外国人介護士の皆さんが懸命に学習し、業務に当たる姿勢から見習うべきことも多いカモ。