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混合介護とは?サービスの質は上がる?

現在、国で議論されている「混合介護」ついて、どんな介護なのかを解説していきます。

混合介護

混合介護ってなに?

平成12年に介護保険が開始されてから、右肩上がりの増加が続く介護サービスの受給者数。その数は開始当初の184万人から、平成29年6月末には637万人と大幅に伸びています。この間介護保険制度は幾度も見直しや改変が加えられてきました。

そして平成29年現在、「混合介護」の本格解禁に向けて議論の真っ最中です。

「混合介護」とは…

介護保険と、それ以外の様々なサービスを組み合わせてご利用者に提供するというもの。

既に介護保険のサービスは全国で展開されていますが、その上でさらに混合介護が注目される背景とは何でしょうか。そこには含まれる問題点も併せて解説していきます。

混合介護が議論される背景とは?

混合介護が求められる背景

ご利用者の介護ニーズの高まり
介護保険は国が制度を定め、都道府県など地方自治体が運用を行っています。そのため全国どこにお住まいでも同じサービスを受けることができるのです。

費用負担は基本的に一割となっており、多くの方が利用しやすいように設計し、運用されてきました。ただ、介護サービスを受けるためには、制限事項を守らなければなりません。

例としてホームヘルパーが訪問介護を行ったときのことを挙げてみましょう。

ご利用者がご家族と同居されている場合、調理や洗濯、掃除は「ご利用者の分だけ」と決められています。つまり、調理は一人前のみ、洗濯はご利用者の服だけ洗う、掃除はご利用者が使うところのみ・・・かなり「融通が利きにくい」ものになっています。

調理をするなら1人前も2人前もさほど手間は変わらないでしょう。洗濯も家族の分まとめて洗濯機を回してしまった方が効率も良く、経済的です。しかし、現行の介護保険では「同居する家族へのサービス」は認められていません。混合介護はそれらの「介護保険では行えないサービス」が欲しいと言う声から生まれました。ご利用者の生活の質を高めるひとつの方法と言えます。

民間事業者の介護への参入を促す狙い
介護保険を実施している国側も、介護サービスの質を高め、ご利用者に提供できるメニューを増やすことを目指しています。

そのために介護以外の業界からの参入を望んでいます。介護サービスを提供する業者が増えることで、業者間の競争が生まれ、サービスの質の向上や価格の低下が進むことを狙っているのでしょう。

増え続ける国の介護関連予算の抑制
介護保険の利用者増加は、関連する予算の増大を招いています。今後も継続してサービスを提供していくためには、経費を今より増加させたくない、できるなら抑制したいという国の思惑も見え隠れしています。

介護保険を使わないサービスが増えれば、その分国の予算を抑制できるのでは?と考えているようです。

ここまで混合介護が生まれた背景やメリットをご紹介しました。では逆に混合介護を進めることで生じる問題にはどんなものがあるのでしょうか?考えていきましょう!

混合介護の問題点とは?

費用が全額自己負担

介護保険の利用料は原則一割負担。一方、混合介護でのサービスを利用した場合、現状では全額自己負担です。

そのため混合介護での利用者負担は割高になりがちです。経済的な余裕のある、なしでサービス内容に格差が生まれてしまいかねません。混合介護を本格的に行うのであれば、ご利用者の経済的な事情にも考慮した費用負担の仕組みとする必要があるでしょう。

サービスの管理、調整をだれが行うか

介護保険は、ケアマネージャーがご利用者のサービス内容を管理します。認知症の方などは介護サービスの選択や、管理をご自分で行うことが難しい場合もあるでしょう。ケアマネジャーの存在はどんな状態の方でも安定して介護を受けるために必要なのです。

しかし、混合介護でのサービス利用が増えるとどうでしょうか。ケアマネジャーが把握していないサービスは、誰がそのサービスや費用の内容のチェックをするかという問題が生じます。業者によっては法外な料金を請求を行うことや、不必要なサービスを提供する可能性も・・・。そのような事態を防ぐ役割もケアマネージャーが担うとするなら、業務が過重にならないように配慮しなければならないでしょう。

介護保険外サービスの質をどう担保するか?

現在、介護保険のサービス事業者は、行政によるチェックを定期的に受けています。一方混合介護でのサービスはご利用者の「自己責任」での利用という扱いです。混合介護が広がれば、様々な業界からの参入が進むでしょう。質の悪い、正当なサービスを提供しない業者からご利用者を守るための法律や制度が必要となります。

混合介護は「より良い生活」を叶えてくれる?

混合介護の本格解禁に向けてはまだ課題が多いようです。介護現場では混合介護をどう見ているのでしょうか。介護カモのつぶやきです。

介護現場で働いていると、ご利用者からの「これができたらいいな」と言う声をよくきくカモ。いくつかそんな声をご紹介してみましょう。

デイサービスの送迎中、「このスーパーの前で降ろして!」

お一人暮らしの方をご自宅まで送迎している時でした。「今夜の夕食のおかずがない。買物してから歩いて帰る」とおっしゃるのです。

しかし、デイサービスの送迎は施設からご自宅までの送迎が基本。途中下車はご利用者の安全確保のためお受けしていません。そのためお断りせざるを得ませんでした。

ご利用者の「家に戻ってからまた出かけるのは面倒なのよ」という言葉は、本当にその通りだと感じて、余計に胸が痛かったカモ。

訪問介護で、「庭の草むしりをして欲しい」

ご利用者は庭いじりがご趣味の方です。現在寝たきりの生活で、庭の手入れが思うに任せないことを気にされていました。その方から「少しで良いから庭の草むしりをして欲しい」と依頼されたのです。

しかし、草むしりはホームヘルパーの業務として許されてはいません。「すみませんが、ご家族かボランティアの方などにお願いしてみてください」とお断りするしかありませんでした。

事業者独自の活動

こうしたご利用者の声に応えるために、事業者は独自に活動を行っています。

介護保険ではない、自己契約のサービスを介護事業所が設定し、ご利用者に提供しているケースは少なくありません。自己契約サービスをケアマネージャーや、サービス提供責任者が必要に応じて組み合わせて管理、運用しています。

ただ自己契約サービスを使うと費用負担が増すため、利用を躊躇している人が多いのも事実カモ…

介護職としては、ご利用者の「もっとこうして欲しい」という思いが叶うのはとても望ましいこと。ただそんなご利用者の気持ちを「金儲けの道具」に利用されることは防がなければ・・・・。一般企業が多く参入することは良いことですし、企業が利益を出すことも大事です。でもそれが行き過ぎないようにする仕組み作りを国には考えてもらいたいのです。

カモは、混合介護が「たまの贅沢」ではなく、「日常、気軽に使える制度」として整備されてほしいと思うカモ。