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混合介護とは?メリット&デメリット、今後の課題まで徹底解説!

2018年9月に新たなルールが発出された「混合介護」。現在も様々な議論がなされているこのサービス、どんな内容かご存知でしょうか?

混合介護

介護の利用を考えている方の多くは、「混合介護」という言葉を聞いたことがありますよね。

しかし中には、

「いったい混合介護ってなんのこと?」
「混合介護のメリットを知りたい」

といった方も大勢いるでしょう。

そこで、今注目される混合介護の概要からメリット・デメリットなど詳しくご紹介します。

これを読めば、混合介護の魅力からデメリットを踏まえたうえで、ベストな介護サービスを受けることが可能ですよ!

混合介護って何?

混合介護と聞いても、あまりピンとこないという方もいますよね。

しかし実際には、訪問介護の現場では混合介護はとてもポピュラーであり、そして改善が求められています。

まずは、混合介護とはどういったものなのか、確認していきましょう。

混合介護とは、介護保険サービスと保険適応外サービスを組み合わせて利用すること

まず、介護サービスの中には、介護保険適用のサービスと保険適用外のサービスがあります。

例えば、入浴や排せつの介助は保険適用の介護サービスですが、利用者家族のための洗濯や調理といった部分は介護保険適用外です。

このような、保険適用と適用外を併用した介護サービスを「混合介護」といいます。

しかし今の介護保険制度では、同じ事業所から混合介護を受けることができますが、規則として同時間内の同時サービス提供はできません。

つまり、入浴や排せつ等の保険適用サービス時間中に、家族の食事などの保険適用外の介護サービスを受けることができないのです。

この場合、介護保険適用サービス修了後、ヘルパーは一度事業所にもどる、もしくは別のヘルパーが時間をずらして訪れ、保険適用外の介護サービスを適用する形になります。

ここまでのお話しで、「え?!同時に受けることができないの?」と驚かれる方もいますよね。

これではとても非効率に感じます。そこで求められているのが、混合介護の規則の緩和です。

すでに2018年度からその取り込むが始まり、より利用しやすい混合介護への改革が進められています。

混合介護のメリット

規則の緩和が求められている混合介護ですが、利便性がいい部分はたくさんあります。

そこで、混合介護を受けるメリットについてお話ししましょう。

サービスの充実

保険適用の介護サービスとは、必要最低限のサービスです。

保険適用のサービスだけでは利用者や、その家族にとって万全とは言えません。

混合介護を利用することで、最低限のサービスにプラスしたサービスを受けることができます。

事業者間競争による質の向上・待遇改善

保険適用の介護サービスは、いわばどの介護施設でも提供しているサービスです。

そのため、事業所・介護施設での差別化を図ることができず、競争心を持ちにくいのが難点です。

しかし、保険適用外の介護サービスについては、簡単に言うとどんなサービスをどんな料金で提供するかはその事業所で決めることができます。

そのため、他の事業所との競争を図ることができるほか、よりよいサービス提供へと向上心を持つことができ、その結果利用者が増えると利益も生まれ職員の待遇の改善にも役立ちます。

つまり、保険適用外のサービスに特色を持つことで、プラスの循環が生まれるということです。

介護者(利用者家族)の負担軽減

要介護者がいる場合、家族にかかる負担は大きいものです。

働いている人であれば、最悪は離職しなくては介護ができないといったケースも少なくありません。

保険適用外のサービスが増え充実することで、離職しなくても介護を続けることができる、精神的にも負担が軽減するなどといった利用者家族の負担を減らすことに役立ちます。

もちろん、保険適用外なのでサービスの費用が払えるのかという問題もありますが、いずれにしても家族の負担を軽減できる手立ての一つといえるでしょう。

混合介護のデメリット

介護者の負担も軽減できる混合介護ですが、デメリットもあります。

次はデメリットにふれて行きましょう。

保険外サービス部分の利用料が高い

やはり、かかる費用は見過ごせません。

保険外サービスということは、サービスにかかる負担はすべて実費で負担することになります。

充実したサービスを受けたいと思っても、費用がなくては受けることができないため、保険適用外の介護サービスに関しては、ある程度の富裕層にとどまるのではといった見方もあります。

サービス内容が分かりづらくなる

実は、利用者が・その家族が介護保険制度について十分に理解しているという方は少ないです。

それだけ複雑と言われる介護保険制度で、保険適用外のサービスも加わるとなると、より複雑化して、「保険適用サービス」「保険適用外サービス」の区別を理解し、より適切なサービスを選択できるか疑問視する声も多くあります。

悪質サービス事業者による被害

場合によっては、悪質な事業所などにいわれるがまま契約をしてしまい、その結果高額なサービスの利用料を支払わなくてはいけなくなるといったケースも考えられます。

悪質な事業所に騙されないためにも、サービス内容の明確化や、利用者とその家族のサービスへの理解・判断力も求められます。

そもそも、介護保険外のサービスって何?

ここまで、介護保険適用外のサービスは実費で支払うというお話しをしてきましたが、では実際保険適用外での介護サービスとはどういったものなのでしょうか。

介護保険適用のサービスとは、介護認定を受けた方が介護保険制度の枠内で受ける介護サービスを言います。

そこで、介護保険制度で補うことができないサービスを、介護保険適用外サービスとして提供されます。

詳しくは、次の表を確認してみましょう。

介護保険適用 介護保険適用外
・食事、排泄、入浴の介助
・通院、外出の介助
・掃除、洗濯
・要介護者のための調理
・薬の受け取りなど
・ペットの世話など
・趣味、散歩などの外出介助
・家族の洗濯や調理、買い物など日常生活
・大掃除
・草むしり

基本的に、同居している家族がいる場合、要介護者のための調理や洗濯などといった生活面での介護サービスは、介護保険適用外になると覚えておきましょう。

介護保険外のサービスの例

では、具体的に介護保険適用外のサービスとはどういったものがあるのかご紹介します。

介護だけではなく、要介護者とその家族の生活の質が向上するようなサービスもあるので、注目してみてくださいね。

介護予防・日常生活支援総合事業

2017年にスタートした地域支援として、介護予防・日常生活支援総合事業で

  • 掃除、食事の準備などといった訪問の生活援助サービス
  • 運動やレクレーション、デイサービスなどの通所による活動援助サービス

といった2種類が主に提供されるサービスになります。

サービスの利用回数、時間などに制限がありますがサービス料金は1~3割ほどと負担が少ないのが特徴です。

地域包括支援センターからのケアマネジメントが必須になります。

市町村が提供するサービス

各市区町村が行う介護サービスとしては、一人暮らしの高齢者が対象になる高齢者住宅サービスがあります。

サービス内容としては、主に次の5つがあります。

  • おむつ宅配、助成のサービス
  • 訪問美容
  • 配食サービス
  • 送迎サービス
  • 緊急通報システム

なかなか美容院に行けな高齢者にとって、自宅で全て行ってくれるのはうれしいですね。

また、毎日食事を作るのは大変といった場合でも、自宅まで食事を運んでくれるので、大変便利です。

利用料金や条件は各市区町村によって異なるので、確認してみるといいでしょう。

社会福祉協議会やシルバー人材センターが提供するサービス

社会福祉協議会、シルバ人材センターの方が提供するサービスとして多いのが

  • 家事支援
  • 外出の付き添い等介護援助
  • 話し相手

などといったものです。

サービス内容は、各社会福祉協議会やシルバー人材センターによって異なります。

介護サービス事業者が提供するサービス

要介護者に、介護保険制度のサービスを提供している事業所が、介護保険では提供できないサービスを行うサービスです。

  • 家族の洗濯や食事の用意、大掃除など
  • 冠婚葬祭の付き添いや認知症の見守り

などといったものもあります。

介護保険適用外のサービスであれば、介護認定のない高齢者であっても、受けることができるので、ちょっと手伝ってほしい、ここの部分だけ補ってほしいといった場合でも利用できるはうれしいですね。

民間企業が提供するサービス

民間企業が提供するサービスは、やや他の介護サービス料金よりも高めの設定であるものの、サービス内容が多彩であるというメリットがあります。

介護認定を受けていなくても利用することが可能です。

  • コンビニなどの配食サービス
  • 家事代行サービス
  • 介護タクシーよる通院、買い物、旅行などの移送サービス

中には、緊急時の対応も受けているところもあるので安心ですね。

混合介護で期待される4つの具体例

ここまで混合介護のメリットとデメリットのお話しをしました。

混合介護では、多少お金がかかっても今よりも質のいい介護サービスを受けることができ、要介護者も介護者も双方に負担がかからないようになることが希望されています。

ではこれらを踏まえて、混合介護に期待できる4つの例をご紹介しましょう。

要介護者とフルタイムで働く娘が同居する世帯

自宅で介護をしている場合、多いのが要介護者の娘が働きながら介護を行うというパターンです。

混合介護を利用していても、要介護者の介護保険適用サービスを行った後に、保険適用外サービスとして娘の分の食事の支度を行っています。

しかし、今後新しく混合介護が改善されると、要介護者の食事を作るときに娘の分も同時に作ることができるようになるため、ヘルパーの負担の軽減や、無駄な時間の削減を図ることも可能です。

高齢者夫婦で妻が要介護者、夫が妻を介護している世帯

高齢夫婦の夫が妻の介護をしている場合、現状では妻と夫の洗濯や部屋の掃除を別々に行う必要があります。

新しい混合介護が始めることによって、夫婦の洗濯ものを同時に洗うことができるほか、妻がいる部屋だけではなく、他の部屋の掃除も同時に行うことが可能です。

要介護者ひとり暮らしの世帯

いわゆる独居で生活している要介護者の方が、混合介護を受ける場合ヘルパーの付き添いで買い物や、最低限の家事支援などを受けることができます。

しかし、ヘルパーの付き添いの買い物の場合、付き添える範囲は限られていて、趣味の物を買いに行くといったことはできません。

しかし、混合介護が適用されると、さまざまな場所への付き添いや、衣替えといったこともサービスとして提供が可能です。

認知症の要介護者と家族が同居する世帯

要介護者が認知症患者の場合、食事や排せつと知った生活的な介護サービスの提供が主になります。

しかし、混合介護の規制が緩和されると、家族が出かけるときや長期間の話して相手になることもできます。

また、徘徊などが起こらないよう見守るといったことも、保険適用外のサービスとして受けることが可能です。

混合介護に関する論点:混合介護が求められる背景

日本では、徐々に介護保険制度などが見直され、利用用途などの多彩になりました。

ではどうして、混合介護が求められるのでしょうか。

詳しく見ていきましょう。

ご利用者の介護ニーズの高まり

介護保険は国が制度を定め、都道府県など地方自治体が運用を行っています。

そのため全国どこにお住まいでも同じサービスを受けることができるのです。

費用負担は基本的に一割となっており、多くの方が利用しやすいように設計し、運用されてきました。

ただ、介護サービスを受けるためには、制限事項を守らなければなりません。

ご利用者の介護ニーズの高まり
介護保険は国が制度を定め、都道府県など地方自治体が運用を行っています。
そのため全国どこにお住まいでも同じサービスを受けることができるのです。
費用負担は基本的に一割となっており、多くの方が利用しやすいように設計し、運用されてきました。
ただ、介護サービスを受けるためには、制限事項を守らなければなりません。

例としてホームヘルパーが訪問介護を行ったときのことを挙げてみましょう。

ご利用者がご家族と同居されている場合、調理や洗濯、掃除は「ご利用者の分だけ」と決められています。

つまり、調理は一人前のみ、洗濯はご利用者の服だけ洗う、掃除はご利用者が使うところのみ・・・かなり「融通が利きにくい」ものになっています。

調理をするなら1人前も2人前もさほど手間は変わらないでしょう。

洗濯も家族の分まとめて洗濯機を回してしまった方が効率も良く、経済的です。

しかし、現行の介護保険では「同居する家族へのサービス」は認められていません。

混合介護はそれらの「介護保険では行えないサービス」が欲しいと言う声から生まれました。

ご利用者の生活の質を高めるひとつの方法と言えます。

民間事業者の介護への参入を促す狙い
介護保険を実施している国側も、介護サービスの質を高め、ご利用者に提供できるメニューを増やすことを目指しています。
そのために介護以外の業界からの参入を望んでいます。
介護サービスを提供する業者が増えることで、業者間の競争が生まれ、サービスの質の向上や価格の低下が進むことを狙っているのでしょう。
増え続ける国の介護関連予算の抑制

介護保険の利用者増加は、関連する予算の増大を招いています。

今後も継続してサービスを提供していくためには、経費を今より増加させたくない、できるなら抑制したいという国の思惑も見え隠れしています。

介護保険を使わないサービスが増えれば、その分国の予算を抑制できるのでは?と考えているようです。

ここまで混合介護が生まれた背景やメリットをご紹介しました。では逆に混合介護を進めることで生じる課題にはどんなものがあるのでしょうか?考えていきましょう!

混合介護における課題

サービスが多様化することによって、それに適応するべくルールの改善や人員配置などさまざまな面に目を向けなくてはいけません。

特にこれからご紹介する2つが課題ともいえるので、よくチェックしておきましょう。

サービスの管理、調整をだれが行うか

介護保険は、ケアマネージャーがご利用者のサービス内容を管理します。

認知症の方などは介護サービスの選択や、管理をご自分で行うことが難しい場合もあるでしょう。

ケアマネジャーの存在はどんな状態の方でも安定して介護を受けるために必要なのです。

しかし、混合介護でのサービス利用が増えるとどうでしょうか。

ケアマネジャーが把握していないサービスは、誰がそのサービスや費用の内容のチェックをするかという問題が生じます。

業者によっては法外な料金を請求を行うことや、不必要なサービスを提供する可能性も・・・。

そのような事態を防ぐ役割もケアマネージャーが担うとするなら、業務が過重にならないように配慮しなければならないでしょう。

介護保険外サービスの質をどう担保するか?

現在、介護保険のサービス事業者は、行政によるチェックを定期的に受けています。

一方混合介護でのサービスはご利用者の「自己責任」での利用という扱いです。

混合介護が広がれば、様々な業界からの参入が進むでしょう。

質の悪い、正当なサービスを提供しない業者からご利用者を守るための法律や制度が必要となります。

混合介護の弾力化に向けた取り組み

混合介護は、「混合介護とは、介護保険サービスと保険適応外サービスを組み合わせて利用すること」で少しふれたように、介護保険サービスと保険適用外のサービスをどう提供していくのかが課題です。

そのためには、

  • 介護保険サービスと保険外サービスを同時・一体的に提供できるようにする
  • 保険適用外サービスについては、価格を自由化し同業者との競争や質の向上を図る

といった2つを重要とし、「混合介護の弾力化」を目指しています。

混合介護のモデル事業として、東京都の豊島区2018年4月より実施されているので、この取り組みが成功することでより理想的な混合介護に近づくことができるでしょう。

混合介護は「より良い生活」を叶えてくれる?

混合介護の本格解禁に向けてはまだ課題が多いようです。

介護現場では混合介護をどう見ているのでしょうか。

介護カモのつぶやきです。

介護現場で働いていると、ご利用者からの「これができたらいいな」と言う声をよく聞きます。いくつかそんな声をご紹介してみましょう。

デイサービスの送迎中、「このスーパーの前で降ろして!」

お一人暮らしの方をご自宅まで送迎している時でした。

「今夜の夕食のおかずがない。買物してから歩いて帰る」とおっしゃるのです。

しかし、デイサービスの送迎は施設からご自宅までの送迎が基本。

途中下車はご利用者の安全確保のためお受けしていません。

そのためお断りせざるを得ませんでした。

ご利用者の「家に戻ってからまた出かけるのは面倒なのよ」という言葉は理解できます。しかし法律では、デイサービスの送迎は現在自宅と事業所間しか認められていない現状があります

訪問介護で、「庭の草むしりをして欲しい」

ご利用者は庭いじりがご趣味の方です。

現在寝たきりの生活で、庭の手入れが思うに任せないことを気にされていました。

その方から「少しで良いから庭の草むしりをして欲しい」と依頼されたのです。

しかし、草むしりはホームヘルパーの業務として許されてはいません。

「すみませんが、ご家族かボランティアの方などにお願いしてみてください」とお断りするしかありませんでした。

事業者独自の活動

こうしたご利用者の声に応えるために、事業者は独自に活動を行っています。

介護保険ではない、自己契約のサービスを介護事業所が設定し、ご利用者に提供しているケースは少なくありません。

自己契約サービスをケアマネージャーや、サービス提供責任者が必要に応じて組み合わせて管理、運用しています。

ただ自己契約サービスを使うと費用負担が増すため、利用を躊躇している人が多いのも事実です…

介護職としては、ご利用者の「もっとこうして欲しい」という思いが叶うのはとても望ましいこと。

ただそんなご利用者の気持ちを「金儲けの道具」に利用されることは防がなければ…。

一般企業が多く参入することは良いことですし、企業が利益を出すことも大事です。

でもそれが行き過ぎないようにする仕組み作りを国には考えてもらいたいのです。

カモは、混合介護が「たまの贅沢」ではなく、「日常、気軽に使える制度」として整備されてほしいと思っています