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重度訪問介護従業者ってどんな資格?業務内容や養成研修の概要、居宅介護との違いについて解説

重度訪問介護従業員

高齢者に限らず、福祉サービスが必要になる可能性は誰にでもあります。

ある日突然、病気や事故などによって人の助けが必要になるケースは身近にあるのです。

障がい者手帳を受けとるような事態になった場合、少しでも生活をより過ごしやすいものにするために、障がい者福祉サービスを利用するという方もいます。

そこで今回は、重度の障がいを抱えた方を支える、「重度訪問介護従事者」になるための必要資格や、どういった方が重度訪問介護の対象になるのかなど、詳しくご紹介します。

ぜひ読み進めてくださいね。

重度訪問介護とは?

重度訪問介護とは、身体的・知的・精神的な理由によって障がい者手帳を発行された方で、日常的にその障がいによって生活が困難かつ常に介護が必要な方が受ける障がい者福祉サービスです。

高齢者が利用する介護保険サービスとは、同じ介護であっても別のものになるので覚えておきましょう。

まずは、重度訪問介護は、どういった方を対象にサービスを提供しているのか、利用者負担など、詳しくご紹介していきます。

重度訪問介護のサービス内容

重度訪問介護で提供している主なサービスは、次の5つがあります。

  1. 入浴、排せつ、食事の介護
  2. 調理、洗濯、掃除
  3. 生活相談
  4. 重度訪問介護利用者の外出の支援
  5. 入院中のコミュニケーション支援

平成30年度から、重度訪問介護利用者の外出に関しては、日をまたいで行うことも可能になりました。

訪問介護は通常短時間のものが多いとされていますが、重度訪問介護の場合は長時間が多くなり障害者介護ということもあり、障害状態は人それぞれです。

重度障害でベッド上での全介助が多いです

重度訪問介護の対象者

重度訪問介護を利用対象となるのは、以下の表のとおりになります。

肢体不自由 知的・精神障がい
・二肢以上に麻痺などがある
・障がい者支援区分で、歩行、移乗、排尿、排便のいずれも「支援が不要以外」と認定
・障がい者支援区分4以上
・障がい支援区分の認定調査項目の中の、行動関連12項目のうち10点以上である

知的・精神障がいの方が利用する場合は、重度訪問介護を利用する前にアセスメントを行い、本人の状態や環境などを調査します。

基準支給量

利用者の認定された障がい支援4~6区分であることと、介護者の状況を考慮して基準時間に対し上乗せの時間が計算されます。

障がい支援区分と同居であるかどうかによって、基準時間は増減します。

以下は、ある市の基準時間です。

参考程度にお考えください。

区分 単身 同居世帯
4 124 100
5 155 124
6(一般) 186 149

この基準時間は、各市町村によって異なります。

また、利用者の状況によって、基準時間よりも長く重度訪問介護を受けることも可能ですので、一度お住まいの市町村に確認してみるのがいいでしょう。

利用者負担

重度訪問介護を利用すると、基本的に1割負担になります。

利用者や配偶者の所得に応じて負担上限月額が設定されるため、こちらもお住まいの市町村に確認した方がいいですね。

重度訪問介護を利用する際の注意点

重度訪問介護の利用には、次の4つのような注意点があるので見ていきましょう。

  1. 度訪問介護を利用する場合、居宅介護・同行援護・行動援護・移動支援の利用不可
  2. 利用者の身体的な理由によって、1人の従業者に看護が困難である、または暴力行為・著しい迷惑行為がある場合は、同時に2人の従業者をつけることができる
  3. 重度訪問介護の対象者で障がい支援区分が4以上の場合、共同生活介護に入居中でも重度訪問介護を利用することが可能
  4. 市町村によって、支援内容が異なる場合があるので確認する必要がある

先にお話ししたように、重度訪問介護の利用者は外出する際はサービス時間内であればサービスを受けることができるため、移動支援などを併用することができません。

障がい者向けの訪問介護である“居宅介護”とは?

これまで、利用者の自宅に訪問し生活の支援を行うサービスとして重度訪問介護をご紹介してきました。

しかし、利用者の自宅を訪問するタイプの介護サービスは、「居宅介護」や「訪問介護」もあり、よく混合されがちです。

そこで、年齢に関係なく利用できる居宅介護とはどういった介護サービスなのか、訪問介護と比べながらご紹介します。

訪問介護と居宅介護の「制度の違い」

訪問介護と居宅介護は、利用者の自宅を訪れ介護サービスを行うという点が同じなので、よく混合されがちですが、制度が全く違います。

介護保険制度による介護サービスを訪問介護といいますが、居宅介護の場合は障がい者総合支援法による障がい福祉サービスになります。

居宅介護と訪問介護では、対象の制度が全く異なるので覚えておきましょう。

利用対象者の違い

制度が違うということは、利用する対象者も異なります。

訪問介護の場合は、病気や機能の低下などによって自立した生活を送ることができない高齢者に対し、住居を訪問して支援します。

しかし、居宅介護は障がいの有無に関係なく個人が日常生活を送れるよう、住宅を訪問する介護サービスです。

詳しい利用者の違いについては、次の表を確認してくださいね。

訪問介護 居宅介護
・65歳以上の第1号被保険者
・特定疾患等で認定を受けた40~64歳の第2号被保険者
・18歳以上の障がい支援区分1以上
・身体障がい・精神障がい・知的障がいの18歳未満の障がい児

対象者が65歳以上の場合、居宅介護の対象であっても介護保険が優先されるため、居宅介護を受けることができません。

訪問介護と居宅介護のサービス内容の違い

訪問介護と居宅介護では、提供するサービスに違いがあります。

まずは、次の表をチェックしましょう。

訪問介護 居宅介護
・入浴、排せつ、食事の介護
・調理、洗濯、掃除などの生活の介護
・入浴、排せつ、食事の介護
・調理、洗濯、掃除などの生活の介護
・生活の相談、助言

基本的に、利用者に対して行うサービスとしては、「利用者が日常生活を送れるよう支援する」ためのものです。

そのため、行う内容としては身体介護と生活援助が主になります。

居宅介護は、買い物の同行や通院介助はサービス対象外です。

居宅介護は、障がい者の在宅生活を支援する訪問系の基本的なサービスである

他にも、障がい福祉サービスの訪問系のサービスは次のように4種類あります。

  1. 重度訪問介護
  2. 行動援護
  3. 同行援護
  4. 重度障がい者等包括支援

行動援護は、知的・精神障がい者が対象であり、同行援護は視覚障がい者が対象になるので誰もが使用できるわけではありません。

重度訪問介護・重度障がい者等包括支援は、常に介護や見守りが必要な方が対象になります。

居宅介護は、訪問系の障がい福祉サービスの中でも最も基本的なサービスと言えますね。

居宅介護と重度訪問介護の違い

同じ訪問系の障がい福祉サービスである、重度訪問介護と居宅介護にはどんな違いがあるのでしょうか。

重度訪問介護と居宅介護は、両者とも利用者の自宅へ行き支援を行う介護サービスです。

しかし、重度訪問介護と居宅介護では利用者の状況が異なるので詳しくご紹介していきます。

まずは、次の表を確認してください。

重度訪問介護 居宅介護
利用対象者 ・障がい支援区分4以上
・二肢以上に麻痺などがある
など
障がい支援区分1以上
利用目的 長時間滞在し日常生活を送ることを目的とした支援 短時間の間で生活に必要な部分の支援
サービス内容 ・身体介護(排泄・入浴・食事など)
・生活援助(食事・洗濯・掃除など)
・電化製品の操作
・重度訪問介護利用者の外出の支援
・入院中のコミュニケーション支援
・身体介護(排泄・入浴・食事など)
・生活援助(食事・洗濯・掃除など)
・生活相談

重度訪問介護では、支援する幅が広く入浴介助や洗濯・掃除など長時間利用者宅に滞在し介護と援助を行います。

しかし、居宅介護では入浴のみ、食事のみといったように短時間の介護・援助を行います。

重度訪問介護の仕事に必要な資格

重度訪問介護の仕事に就くためには、訪問介護とは異なり障がいに関した知識を持つことが必要とされます。

そこで、重度訪問介護従業者になるためにはどうしたらいいのか、お話しします。

必要な要件

重度訪問介護の必要な要件
・介護職員初任者研修(旧訪問介護員2級課程)以上の介護系資格を保有していること
・重度訪問介護従業者養成研修を修了していること

重度訪問介護では、脳性麻痺や難病、脊髄損傷などといった方をケアすることが多く、通常の介護に比べきめ細やかな注意が必要になるため無資格では勤めることができません。

最低でも、

  1. 介護職員初任者研修(旧訪問介護員2級)以上の資格がある
  2. 重度訪問介護従業者養成研修の修了

といった2つをクリアしておく必要があります。

あると有利な資格

重度訪問介護従業者になるため、取得しておいた方がいい資格として、

  1. 重度訪問介護従業者養成研修
  2. 強度行動障がい支援者養成研修

といった2つあるのでその概要等をご紹介します。

この2つの資格を取得しておけば、肢体不自由者や知的・精神障がい者に対する重度訪問介護を行うことができるので、就職にも有利に働く可能性があります。

重度訪問介護従業者養成研修

重度障がいの方の訪問介護を行う場で、2006年から重度障がい者の訪問の介護に関係する研修が行われるようになりました。

障がい者の訪問介護として仕事をしたいと考えている方にとっては短期間に習得できる研修とされています。

基礎課程と追加課程を修了することで障がい者に対する基礎な知識と実際の介助研修や緊急時の介護なども学べるものです。

各市町村窓口で実際に研修を行っている事業所の紹介一覧などがあるのでそちらで調べて直接研修を行って終了後に厚生労働省が認める修了証明書が発行されます。

※参照:「東京都福祉保健局」障害者居住介護従業者基礎研修等開催日程ご案内

事業所によって終了までの期間が違いますが、早い所では3日で終わる所もあります。

介護が初めての方で資格がない方にとっては研修しやすいものとなっています。

資格がなく障害者の介護をしてみたいと考える人にとっては短い時間で取得ができるのがメリットです。

基礎的な考え方や接し方も学ぶことができるのと実際の事業所の現場での実習ができるので介護のことが初めての人安心です。

強度行動障がい支援者養成研修

知的・精神障がい者の場合、時には自傷行為や他傷行為などのサポートが必要になるケースもあります。

そういった事態にも対応できるように、強度行動障がい支援者養成研修では知識を得る基礎研修と、どう対処していくかといった「実践研修」を受けることが可能です。

強度行動障がい支援者養成研修は2日程度で取得できる研修になります。

各都道府県で、研修日程や案内が掲示されているので、確認してみましょう。

重度訪問介護従業員を取得して施設で働くメリット

障がい者介護施設では介護の資格がなくても働くことは可能です。

しかし事前に基礎的な研修を受けているということもあって施設での働く上で安心感があると思います。

介護保険事業所と違い、特に障がい者施設の場合は資格というよりは経験などが重視される場合もあります。

基本的には大きく待遇が違うといったことはないでしょう。

未経験であっても大丈夫ですし、本人のやる気などがあれば問題はないとさえ言う所もあります。

待遇面では未資格と介護職員初任者研修、そして介護福祉士で時給が違ってくることがあります

最近増える高齢の障がい者への対応などについて

障がい者の方の介護と高齢者の介護については基本的な考え方などについては近い所がありますが、実際に介護サービスとして提供するとなると、違ってくる所が大きいと思います。

特に障がいについては、個人によってそれぞれ違った状況があり、その人に合わせた身体的な特徴があります。

また知的障がいや精神疾患のような場合は違ったアプローチが必要とされるからです。介護する側も、その経験上得意・不得意といったものもあるかもしれません。

最近では障がい者が65歳を超えた際に制度上介護保険のサービスに移行されてしまうため、利用されていた障がい者の方自身も戸惑う部分があるでしょう。

一方、高齢者施設では精神疾患(統合失調症)などがある高齢者の方がおられ、普通の方の対応と異なる対応を求められます。

その人に対してのアプローチや家族の方との対応など気を遣うポイントなどが細かく違ってきますので、本当に難しいと思ったことがありました。

これからは障がい者と高齢者と切り離して介護と扱うだけではなく、同時に含まれるケースも多くなってくため現場のスタッフも対応を考え、勉強が必要となってくるのではないでしょうか。

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まとめ

まったく介護の仕事で経験がなく、でも障がい者介護の世界で働いてみたいと考えている人にとって重度訪問介護従業者養成研修はお勧めの資格です。

この資格は、訪問系のサービスである“重度訪問介護”の就業要件にもなっています。

重度訪問介護は、生活全般において手厚い介護を必要とする重度の障がい者に対する訪問介護サービスです。

そのニーズは多い一方、提供している事業者が少ないという課題を抱えています。

介護職員初任者研修とは違って万能の資格ではありませんが、障がい者支援の世界では重要な資格の一つになっています。