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都会と地方の病院の医療事情は「下地」をよく知って差を知ろう


失敗が付き物の転職。過疎地独特の人間関係を心得る

日本国内の医師数は約30万人。勤務医と開業医のほか、研究者として働く医師や厚生労働省の技官など様々な人が医師免許を持って働いています。

最も多い勤務医のうち、どのくらいの人が転職を経験しているのでしょうか?

実は、勤務医は45%が経験あり、開業医は56%が経験ありという調査があります。理由は様々ですが、共通点は「ネガティブな理由」によるものです。

医局人事への不満や病院の経営悪化、勤務環境の崩壊など、医師として果たせなくなった使命感によって転職した方が多いことが判明しています。

※参照 m3

ただ、クリニックを開業したり、実家の診療所を継いだ医師の場合、勤務医に転職するケースはそう多くはありません。

独立する場合は綿密な資金計画を立て、立地を確かめて開業しますし、実家を継ぐ場合は患者の層をよく把握して病院の規模を維持できるかどうかを計算します。

そうやって維持していったクリニックを、最終的には畳んで過疎地域へ転身する医師…中には、医療人生を大きくチェンジしていく方もあります。

勤務医からへき地医療を目指す医師、あるいは離島の医師として働く方…様々な生き方を考えていくカモ。

あかひげの由来とは何か

江戸時代中期の医師「小川笙船(おがわしょうせん)」が大岡越前守と江戸の医療を守る…と、書くと、テレビドラマの見過ぎと言われるかもしれませんが…そうではありません。

もともと赤ひげは実在の医師、小川笙船が江戸は小石川に町医者として働いていたことから始まります。

八代将軍徳川吉宗の御代、目安箱への投書がきっかけで人口100万人の江戸市中に診療所(施薬院)が開業。幕府お抱えの医師と町医者が町人をも診るという画期的なお話です。

投書人が町医者の小川笙船というわけです。現在あかひげというと、街中の薬局の名と勘違いする方がありますが、所得の少ない庶民のための医師が町医者=過疎地域や離島の医師という言い方に変化していったのです。

へき地や過疎地では、よそもの医師が信頼されないことがある

離島の国立療養所、町立診療所は「Dr.コトー」の活躍で、最近若い医師が少しずつ就職先として考えるようになっていますが、それでも数は微々たるものです。それに比べて、人口が数千員規模の村や地域の場合は事情が複雑です。

有名なのが秋田県の上小阿仁村(かみこあにむら)。人口2,700人ほどの過疎地ですが、病院は国保診療所があるきりで、医師が定着しないことで知られていました。

20年来勤務していた医師が退職後、2008年から2013年までの間、公募でやってきたよその地域からの医師に対していじめが横行…とされ、数ヶ月単位で医師が辞職する「事件」が勃発。

※参照 wiki上小阿仁村

地域の文化や風習、人々の独特な感受性などが医師を受け入れるかどうか…これは大なり小なりどの過疎地域でも発生する可能性があります。

特に、公立・国立診療所とはいえども年収2,000万円近い条件で赴任する医師を、住民がやっかみを持つ可能性はゼロとは言えません。コミュニケーション能力もかなりうまくないと、医療現場で混乱するわけです。

あかひげが成功するには、条件がある

東京や埼玉、神奈川、千葉といった首都圏なら、常に全国から流入する人たちが様々な文化を形成していけます。が、地方はそうではないことがよくあるカモ。

いきなり見も知らぬ地域医療に人生を捧げたい…と思っても、肝心の地域先では誰もあなたを認めない、そんな現実はよくあること。

だからこそ、40・50代でいきなり見知らぬ土地に行く決断をするのはよく考えるべきだと思います。その前に年に数回実地調査し、住民の様子や実際の診療所の様子もキャッチしておかないといけません。

そして、自分に合う場所かどうか、あるいは自分が入っていける人間関係かどうかも調べておくことが大事です。

地域同士の連携も必要になるので忙しさは覚悟しよう

過疎地域となれば、若い人の雇用の場が少なく、患者も近隣の大きな町へ流出してしまうケースがほとんど。結局残るのは足のない高齢者が多くなりがちです。

だからといって、高齢者に多い整形や循環器、呼吸器などを専門とする医療というわけにはいきません。検査のための医療器機は絶対に必要ですから、赴任するならば必要条件で検査器機を請求するのが必要です。

検査を終えたら他の町で患者を紹介する。その際に「なぜよそに生かされるんだ!」とゴネる患者も発生することは織り込み済み。これをうまく丸め込んで患者を輸送させる。

口で言ってもなかなか動かない患者や家族を、町ぐるみでなんとか動かすには、町長や村長の力も必要カモ。結局、あらゆる人とのコミュニケーションが大事になるのです。

まとめ

都会の診療所をクローズして、過疎地域へ行く…一見美しい使命感での行動に思われても、肝心の過疎地域が「都会のよそもの」と自分を認めてくれなければ、診療は成り立ちません。

赴任後に診療所の赤字が拡大しては、医師としての実力が問われてしまうカモ。だからこそ、前準備。

まずは、赴任前に数年かけて調査すること、そして町や村の実力者とも顔を合わせておくことも場合によっては必須条項です。

地域医療の良さは、予防医学を自分の裁量で行えることですが、そのためには数年かけて地域住民の心をつかむことがもっと必要となるのカモ!