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「糖質制限」で医師が知っておくべき3つのポイント


糖質制限は治療ではない。患者の自由にはさせないのが原理原則

2002年(平成14年)は228万人、2014年(平成26年)は316.6万人…この12年間で88.6万人も増加した糖尿病患者。の原因は糖質増加傾向の食生活でしょうか?実はこの12年間で国民が摂取する炭水化物(糖質と食物繊維)の量は一日平均15.4g減少しているのです。

出典:週間ポスト

メタボ検診の導入、糖質カットによるダイエットなど健康志向の動きは広がるばかり。まして糖尿病を患う人たちが糖質制限をすれば健康状態が改善するのでは、と単純に思うのには無理もないことでしょう。

糖質制限をすれば健康になれるのでしょうか?糖尿病患者が制限を行うことは正しいのでしょうか?

話題になっている、糖質制限を糖尿病患者使うべきか、使わないべきか?そのポイントを3つご紹介していていきましょう。

糖質制限がブームに。ただ、リスク要因の議論はあやふやに

糖質を制限さえすれば健康が維持できる、そんな糖質制限信者が増加しています。その多くは耳学問やネット検索で曖昧な医学情報を集積したサイトからの拾い読み。

その結果、糖質摂取を減らしてタンパク質や脂質の摂取を増加させる食生活に移行しているのです。

糖質とはそもそも炭水化物の仲間から食物繊維を除いたもの。ご飯やパンに含まれるでんぷんは糖質に当り、砂糖や果糖(果物の糖)などが含まれます。

イモやトウモロコシ、そば、うどん、パスタ、そして菓子やジュースは糖質の多い食べ物ですから糖質制限のターゲットとなるでしょう。

人は毎日食べなければ生きて行けません。今までお米やパンを食べ、いきなりそれを止めるとなると代用品が必要。糖質が支えていた食事の量を何かで補わなければなりません。

その知識を欠いたまま糖尿病患者までが糖質制限食を進めている。当然リスクは付き物、と言わざるを得ないのカモ。

糖尿病患者にとって、低血糖の大事な情報を得ているか

リスクとはどういった問題でしょうか?糖質を下げるとタンパク質や脂質摂取量が多くなります。豆腐、納豆、肉類が含まれ、脂質は玉子、チーズ、魚類が代表的なものでしょう。

タンパク質過多になると分解吸収で余った窒素排泄機能がフル回転となります。つまり、肝臓と腎臓に負担をかけることになるわけです。

脂質過多は言うまでもなく、動脈硬化を引き起こします。糖尿病患者には更に恐ろしい合併症のトリガーとなるのは誰でも理解できるはず。

糖尿病患者の中にはひたすら「糖質排除」にしか目が向かないことがよくあるのです。誤った糖質制限食は、更なる低血糖に腎機能の低下をもたらします。ですから、医師として患者にポイントを絞って制限食の善し悪しを説明しなければならないのです。

医師が知っておくべきポイント①

ポイントの一つ目は、内蔵機能についての説明を行うことです。血糖値を下げるために糖質以外のタンパク質摂取過多で、腎機能はさらに負荷がかかること。

腎機能のチェックのために、血清クレアチニン値、尿蛋白を定期的に測定することが必要なのです。

大事な点として、腎臓の専門医とのタッグで適切な測定評価が可能になることも認識してもらうべきカモ。食生活のバランスとして、タンパク質<脂質を勧めるケースも出てくるはずカモ。

医師が知っておくべきポイント②

次のポイントは薬についての考察です。最近ネット上では「糖質制限食で、糖尿病薬を止めた」といったブログが公開されています。特に体重を減らすことで体調が良くなった、という記載が散見されます。

ただ、注意すべくは低血糖を促す製剤を服用している患者が制限食と投薬で限度を超えた低血糖になる危険性でしょう。糖質制限を行う患者は、制限食と減薬の組み合わせで徐々に投薬中止に持って行くのが適切となります。

もちろん、いきなりの糖質制限食は必ず体内で揺り戻しがあるはず。そのためには、腹部や腕部に小型のセンサーを装着するだけで日々の生活でも問題なく過ごせる持続血糖測定器(CGM)が有効カモ。

様々なデバイスで細かな診断が出来ることで糖質制限も確認できるカモ。

医師が知っておくべきポイント③

最後のポイントしては、患者ひとりひとりに合った糖質制限を指導することでしょう。上記のように、タンパク質と脂質を積極的に勧めないと、体重を落とすことに躍起になる患者が増えてしまう危険性があるからです。

中高年患者は食事制限による骨密度が特にスカスカになりやすく、貧血で動くこともままならないケースがあります。

適切なカロリー数を摂取しているかも大変重要。中性脂肪の値やヘモグロビンA1cがかなり低く推移しても、糖質制限の状態がリアルタイムかどうかは判断が難しいカモ。

特にHbA1cは現状よりも1,2ヶ月前の数値を示しますので、体重との相関関係を見ておくべき、となるカモ。

糖質制限食は未だ治験状態

糖質制限食については、やはり食そのものの導入で患者がしっかり対応できないこともあるはず。魚、肉も調理方法や加工されたものの度合いなど、栄養士の範疇になる話題も必要となります。

ただし、糖質制限食は食事療法とは認められない現状があり、まだまだ治験状態と言っても過言ではありません。

糖質制限を行うべきか否か…日々の研究を待って始動するのが正解への道と言えるかもしれないのです。